適菜収
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適菜収作家

近著に「ニッポンを蝕む全体主義」「日本人は豚になる」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書45冊以上。「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。本紙連載が書籍化「それでもバカとは戦え」好評発売中

猪瀬直樹も飛びついた 維新の躍進を許せば日本は「2度目の敗戦」を迎える

公開日: 更新日:

 作家で元東京都知事の猪瀬直樹が今夏の参議院選挙に出馬する意向を固めたとのこと。日本維新の会の比例代表となる見通し。維新は著名人を中心に擁立作業を進め、比例で元プロ野球選手の青島健太、歌手で俳優の中条きよし、元マラソン選手の松野明美らを候補者として公認する方針を決定。

 客寄せパンダを並べたポピュリズム全開体制だが、うっかり候補になってしまった連中と違い、猪瀬が維新がどのような政党なのか知らないはずはない。

 私は猪瀬が書いた「昭和16年夏の敗戦」を思い出した。

 昭和16年4月、日米開戦8カ月前の「総力戦研究所」に「官民各層から抜擢された有為なる青年」36人が全国から集められた。募集の条件は「人格高潔、智能優秀、身体強健にして将来各方面の首脳者たるべき素質を有するもの」だった。

 彼らは闊達な議論を行い、あらゆるデータを集め、開戦後のシミュレーションを繰り返し、「緒戦、奇襲攻撃によって勝利するが、長期戦には耐えられず、ソ連参戦によって敗戦を迎える」との結論に達した。しかし日本は開戦に踏み切った。開戦後の石油保有量を予測したあるひとつのデータが出て、戦争を始めたい勢力がそれに飛びついたからだ。

 猪瀬がやっているのは、これと同じだ。本連載で示してきたとおり、維新の不正や嘘、デマに関するデータは山ほどある。ユリウス・カエサルは「人は見たいものしか見ない」と言ったが、これを心理学では「確証バイアス」という。自分にとって都合の悪いデータを無視するようになると、現実との接点を見失っていく。参院選で維新が躍進すれば、日本は2度目の敗戦を迎えることになるだろう。

 猪瀬は2013年12月、5000万円の選挙資金借用問題が浮上し、在任約1年で都知事を辞任。都政の混乱を招き、その後、公職選挙法違反で略式起訴され、5年間、公民権が停止された。カネに汚いところは維新イズムそのものだ。

 猪瀬は元テレビ朝日アナウンサーの富川悠太が、「トヨタ自動車の所属ジャーナリスト」になったと報告したことに対し、〈アホじゃないか。「ジャーナリスト」でなく「広報マン」だろ〉と批判していたが、維新の「広報マン」になり果てた猪瀬はジャーナリストとしては完全に死んだのだろう。


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