保阪正康
著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

2年前の会話を再現した「でっち上げの罪状」からうかがえる司法当局の意思

公開日: 更新日:
幸徳秋水(左)と大石誠之助(C)共同通信社

 検事総長が新聞記者に伝えた各被告の罪状はいわば、いかに事件がでっち上げられたかの証拠になるともいえた。と同時に、幸徳秋水を巧みに事件の主軸に据えるかのような筋書きもうかがえる。その他に管野スガと大石誠之助が各被告にいかにこの暴挙を説得したかを並べ立てている。

 その巧妙さ…

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