(31)施設見学するも…どんどん無口に。そして恨み節炸裂
有料老人ホームの下見は期待外れだった。最後に訪れたCだけは入所者の笑顔を見る機会があったけれど、ほかはおかんにダメ出しされるだろう。とはいえ、老健に入所してすでに2カ月。早ければあと1カ月で退所を打診されるはず。時間がない。こうなったら当たって砕けろ。兄と相談の上、「今度久しぶりに外でメシでも食って、そのついでにちょっと見学してみようよ」。
ランチをメインに、あくまで見学はついでのニュアンスで外に連れ出すことにした。
約束の日、老健に行くとしっかり外出着に着替えて待っていた。第一関門突破。まずは車で自宅近くの中華レストランに入る。おかんはラーメンと餃子を食べながら、「味の濃い食事は久しぶりだ。おいしいよ」。
ニコニコが消えないうちに有料老人ホームのBに連れて行った。
予約していたので下見の時と同じ、スーツ姿の女性が営業スマイル満開で館内を案内してくれた。その間、歯の浮くようなお世辞を並べ「お母さまには当施設がピッタリですよ」なんて能天気なセールストークをしてくる。嫌な予感がした。


















