天皇と戦争の世紀(3)無条件降伏の後、日本側が天皇制をどう死守したのか

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 高市政権による皇位継承のねじ曲げ問題と終戦記念日の重なりから、改めて昭和天皇に注目が集まっている。

「〈退位〉の終戦史」河西秀哉著

  ◇  ◇  ◇

 日本が戦争に敗れ、天皇制護持を貫こうとした重臣たちのもくろみもむなしく無条件降伏を受諾した後、昭和天皇が戦争責任を問われるのか、退位に追い込まれるのかは大きな問題だった。GHQの民間情報教育局(CIE)は天皇から神聖性を剥ぎとる詔書を天皇自らが発表すべしとして原案を作成。これを日本政府が検討し、日本文で原案を作成してマッカーサーの承認をとった。CIE案は天皇中心のナショナリズムを明白に否定していたが、日本側の案では民主主義と天皇制に親和性があることを強調し、天皇制の下で政治体制の新たな構築を求める内容に変化していた。つまり日本政府は顔ぶれが変わっても天皇を守ることを死守し、アメリカ側に悟られないように文意を微妙に変えたのである。GHQは「人間宣言」で神格化が否定されたと解釈したが、実は当初のもくろみは不徹底だったのだ。

 著者は象徴天皇制をテーマとする日本近現代史の名古屋大教授。日米双方の公式文書のほか、新聞の投書や雑誌記事などを綿密にたどり、さまざまな国民感情も跡付けていく。国破れてもミカドだけは残ったのだ。 (慶應義塾大学出版会 2750円)

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