保阪正康
著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

蘆花が浮かび上がらせる「大正」への不満

公開日: 更新日:
徳冨蘆花(左)と明治天皇・睦仁(C)共同通信社

 徳冨蘆花の大正論の骨格である。次のようにあるのだ。

「大正は明治を以て鑑とせねばならぬ。幸徳処分の失敗は事実がこれを証する。大正はいたずらに明治の跡を踏んではならぬ。幸徳らは死んだ。難波大助は生きて悔悛の機会を与えられねばならぬ。これは過激思想に媚びるためではない、かくし…

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