BOOKSHOP トランスビュー(新宿区・中井)17坪の店内に百万年書房、共和国など小出版社の本がずらり
あの「伊野尾書店」が、今年の3月末に閉店した。1957年創業の町の本屋さん。2代目店主・伊野尾宏之さんが69年間の営みをつづった「本屋の人生」を読んで心打たれただけに、閉店が寂しすぎたが──。
その伊野尾書店の場所が6月、伊野尾さんが店長を務める「BOOKSHOPトランスビュー大江戸中井店」に生まれ変わったという。「トランスビュー」は人文系出版社で、従来の取次(卸会社)を通さずに書店と直取引し、約120の小規模出版社の書店への「取引代行」も行う画期的な会社だ。え? え? どんな店に? 伺った。
「トランスビューの工藤秀之社長からお声がけいただき、店舗を貸しながら運営業務を委託される形になりました」
と伊野尾さん。白い壁に、モスグリーンの本棚。以前と同じ17坪だが、明るく、広く感じられる。
「刺さる本」に出会える可能性大
近所の子ども御用達のコミックが並び、村上春樹の新刊「夏帆」が積まれ、鈴木エイト「アンビバレント」や「太田光のテレビの向こうで」も平台に。町の本屋さんぶり健在だが、店の奥に進むにつれ、なるほど!
「14歳からの哲学」をはじめ「死者の民主主義」「池田暁子の必要十分料理」などトランスビューの本と、同社が取引代行をしている出版社の本がずらり。
百万年書房、ころから、共和国、みずき書林、ゲンロン、一色出版、明幸堂……。知っていた版元もあるが、知らなかった版元がこんなにあったなんて。
「大手版元と全く遜色ない、すてきな装丁の本ばかりですね」と言えば、「中身も」と言わんばかりに、伊野尾さんが「わたしを庇わないで」「生きる力が湧いてくる」「昭和二十一年八月の絵日記」「日本で生きるクルド人」「九月、東京の路上で」を次々と手に取り、濃く説明してくれる。
「本屋は、多くの場合ネット情報から仕入れるんですが、ここに来て、実物を見て、手に取ってほしい。ここ、ショールームです。店内のパソコンからすぐに注文できます」と伊野尾さん。本屋さんばかりか、私たち一般人もこの店を利用しない手はない。ほかではあまり目にできない「刺さる本」に出会える可能性大だから。私は、歴史系と随筆系、3冊を買ってしまった。
◆新宿区上落合2-20-6/大江戸線中井駅A2出口すぐ、西武新宿線中井駅から徒歩2分/℡03-3361-6262/午前11時~午後8時、日・月曜休み
ウチの推し本
「今日も演じてます」月と文社編
「演じることには苦しみもあるけれど、演じることが自分を導いてくれる面もある」と、「はじめに」にある。
「すごく遊んでいるのに、あまり遊んでいない人を演じる若い男性とか、サラリーマンに本当はあまり向いていないけど、一応ちゃんと仕事をしている人を演じているとか。良き母、アイドル、あるいは『普通』などを演じてきたと自覚する人たち8人のインタビュー集です」
(月と文社刊 2200円)
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