振り回される楽しさ! 猫文庫本特集(1)子猫そっくりの「月から来た」少年は…「お菓子な猫と、旅する少年」長野まゆみ著

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 人に飼われているくせに、勝手気ままで、何やら不思議な能力を秘めていそうな幻想を抱かせる。そんな猫に振り回される楽しさに、どっぷり漬かってみよう。

  ◇  ◇  ◇

「お菓子な猫と、旅する少年」長野まゆみ著

 ジャスが学校帰りに高校の近くにあるカフェ「夜猫(イット)」で本を読んでいると、店主のシモが電話だと声をかけた。同級生のパロマからだった。

 ポルポーラという希少種の猫が手に入ることになり、「夜猫」で受け取るつもりだったが、急用で行けなくなった。自分の代わりに子猫を受け取ってほしいという。胴がほっそりして、毛並みが光の当たり具合で紅や濃い橙に見えるので「深紅(ポルポーラ)」と呼ばれるのだと。

 電話を終えて席に戻ると、少年がジャスの本を勝手に読んでいる。昨夜、革製品の店の前で会った少年だった。彼はパロマが言った猫の特徴をみんな備えていた。少年の名は月のクレーターの名と同じ「ティコ」。ティコは、父を捜しに4年がかりで月から来たというのだが……。(「月の船でゆく」)

 長野まゆみの傑作4編を収録。 (光文社 1320円)

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