海外逃亡生活3年でギブアップ…特殊詐欺グループ「かけ子」トップは筋金入りの詐欺師だった
「疲れた。日本に帰りたい」
ベトナムとタイで3年以上、逃亡生活を続けていた特殊詐欺グループの幹部の男は先月29日、逃亡先のタイから警視庁捜査本部に電話をかけ、こう音を上げて帰国を告げたという。
高齢者から現金をだまし取ったとして、警視庁暴力団対策課は帰国した8日、電子計算機使用詐欺などの疑いで住所・職業不詳の蓮見晋平容疑者(42)を逮捕した。
蓮見容疑者は2022年5月14日、仲間と共謀し、茨城県内の市役所の職員の名前を名乗り、県内の当時68歳の女性に「介護保険料の還付金を受け取れます」とウソをつき、現金約50万円を振り込ませた。
「蓮見は事件直後の5月下旬、ベトナムに高飛びしています。2年間、ベトナムに潜伏した後、タイへ移動しています。数年前から日本の警察は現地の捜査機関と協力して、フィリピンやカンボジア、タイで日本人の詐欺グループを次々摘発している。近い将来、自分にも捜査の手が及ぶのではと考えたのではないか」(捜査事情通)
逃走から約1カ月後の6月22日、警視庁は特殊詐欺グループがアジトにしていた東京・世田谷区のマンションを摘発し、山口組系と住吉会系の暴力団幹部ら11人をパクった。グループは「かけ子」や「出し子」「受け子」「見張り役」に分担され、山口組幹部は「受け子」として調整役や手口を考案する役目を担い、蓮見容疑者はかけ子を統括する立場だった。グループは65歳以上の女性をターゲットにして、22年3月から3カ月間で、30都府県の118人から1億円超をだまし取っていた。