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権藤博野球評論家

1938年12月2日、佐賀県鳥栖市生まれ。鳥栖高からブリヂストンタイヤを経て61年に中日入り。1年目に35勝19敗、防御率1.70という驚異的な成績を挙げ、最多勝や沢村賞などタイトルを総ナメに。連投に連投を重ねる姿に「権藤、権藤、雨、権藤」の流行語が生まれた。68年に現役引退後は各球団の投手コーチを歴任。横浜で初の監督に就任した98年にはいきなりペナントを制し、38年ぶりの日本一に導いた。

野茂の言葉でハッとした…プロ野球は一軍枠拡大より縮小を

公開日: 更新日:

 それを聞いて、野茂英雄の言葉を思い出した。

 6月19日に開幕を迎えるプロ野球で、一軍枠の拡大が検討されているという件だ。

 コロナ禍で調整や練習を制限された選手のシーズンでの体力消耗を考慮し、現行ルールの「一軍枠29人、ベンチ入り25人」を、それぞれ2人程度、増員する。同様の理由で外国人枠も今の4人から5人に拡大する方向で協議が進んでいるというのだが、必ずしも“使える人数を増やせば、選手個々の負担が減る”とは限らない。

 私が中日の投手コーチだった2012年、次から次に投手をつぎ込もうとする監督と意見がぶつかり始めたある日、ちょうど連絡のあった野茂英雄に会った。

「これじゃあ、野手の数を減らしてでも投手の数を増やさんと足らんよ」

 思わずこぼした私に、野茂はこう言ったのだ。

「増やすんじゃなくて、減らせばいいんじゃないですか。いなかったら、代えられないですもん」

 ハッとした。チームの勝敗の責任を背負う監督は、どうしても目先の勝利にこだわる。シーズンをトータルで考えながらも、いざゲームが始まれば、その日の試合をなんとしてでも取りたいと、視野が狭くなってしまう監督が多い。選手がいればいるほど使いたくなるのなら、逆に人数を制限した方が結果的に選手の無駄遣いは防げることもあるということだ。

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