大谷41号で本塁打王は独走状態! サイ・ヤング賞も獲得ならメジャー全30球団で争奪戦勃発

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 エンゼルス・大谷翔平(27)が元祖二刀流ベーブ・ルースの生誕地ボルティモア(メリーランド州)で初本塁打を放った。

「1番・DH」で出場した日本時間27日のオリオールズ戦の一回。相手の先発左腕エイキンの変化球を捉えて右翼席に41号先頭打者弾を放った。この日は2打数1安打1打点2四球。五回の第3打席で渡米後初の規定打席(502)に到達した。

 リアル二刀流で出場した前日は19連敗中だったオ軍相手に5回を自己ワーストの3被本塁打を含む5安打4失点。勝利投手の権利を得て降板するも、リリーフ陣が逆転を許して9勝目はお預け。ルース以来の同一シーズンでの「2ケタ勝利、2ケタ本塁打」は足踏みとなったが「球聖」ゆかりの地で一発を叩き込んだ。

■エンゼルスには「嬉しい誤算」

 投手としてここ1カ月間で4勝をマーク。5月29日のアスレチックス戦以来、負けがない。

 後半戦に限れば計6試合38回を投げて、4勝0敗、防御率2.13、40奪三振。規定投球回に達していないものの、勝ち星、防御率ともリーグ2位につけている。一躍、ア・リーグのサイ・ヤング賞候補に挙がるほど、投手として評価されるようになったのだ。

「大谷が投手として安定したのは、エンゼルスにとってうれしい誤算でしょう」と、現地特派員のひとりがこう続ける。

「エンゼルスは今季、大谷ルールを撤廃、起用法に関する制限を完全に取り払った。登板日前後の休養を廃止、なおかつ投げる日も打席に立たせるリアル二刀流を実現させた。二刀流にこだわる大谷の意をくんだように受け取られていますが、実際は逆。今季就任したミナシアンGMとマドン監督が話し合い、球団主導で決めたことです。大谷は二刀流ながら、過去3年間、投打とも平凡な数字しか残せなかった。それだけに球団はできれば投手か野手、どちらかに専念させたかった。思う存分、打たせて、投げさせて、それでも結果が出なければ、さすがに本人も二刀流を諦めるだろうとソロバンをはじいたと聞きました」

 エンゼルスのそんな思惑はしかし、いい意味で裏切られた。

 27日現在、41本塁打は2位のゲレーロJr.(ブルージェイズ)に5本差をつけてメジャートップ。89打点は首位・アブレイユ(ホワイトソックス)と8点差のリーグ4位。本塁打、打点の打撃2冠を狙える位置につけて、ア・リーグMVPの最右翼候補だ。

 これで投手最高の栄誉とされるサイ・ヤング賞に選出されるようなら、大谷の市場価値は爆発的に高騰する。

契約規模は総額440億円に

 大谷が渡米した2018年当初、投打の二刀流に懐疑的な球団は少なくなかった。移籍1年目のオフには右肘の靱帯を修復するトミー・ジョン手術を受けたことで、二刀流としての限界がささやかれたこともある。

 しかし、当のエンゼルスも含め、メジャー球団の見立てを覆す活躍をしているのだ。

 今年2月に年俸調停を回避して2年約8億9000万円で合意した大谷は再来年である23年オフにFA権を取得する。大谷がエ軍と長期契約を結ばず、FA市場に出ることになればエンゼルスも含めた全30球団による争奪戦に発展するのは想像に難くない。

「今季の働きぶりを考慮すれば、再来年オフにFAの目玉になるのは間違いありません」とスポーツライターの友成那智氏がこう続ける。

「本塁打王だけでなく、サイ・ヤング賞まで獲得するようなら、とてつもなく大きな勲章になります。来季以降、『10勝、30本塁打』を2シーズン続ければ市場価値はいよいよ高まり、総額4億ドル(約440億円)規模の超大型契約を手にするでしょう。メジャー30球団が大谷に関心を示すはずで、中でもDH制のあるア・リーグは熱心に動くはずです。ア・リーグ東地区の資金力豊富なヤンキース、レッドソックス、ブルージェイズなどは左の強打者で、なおかつローテの軸になる大谷獲得を補強の最優先事項にするでしょうね」

■ヤンキースなど大都市の球団も参戦確実

 大谷は渡米する際、二刀流を容認する球団に絞って交渉、ニューヨークなどの大都市を本拠地とする球団を敬遠したといわれる。なにしろメジャー実績ゼロ。メディアやファンのやかましい大都市圏の球団が、辛抱強く二刀流にチャレンジさせてくれる保証はないと思ったのだろう。そんな経緯があってエンゼルスを選んだらしいが、メジャー4年目の今季は投打ともに才能が開花。これまで二刀流に懐疑的だった球団の評価が百八十度覆ったことは大谷自身、承知しているはず。つまり2年後のオフ、敬遠しなければならない球団はなくなったのだ。言い換えれば、どの球団にも獲得のチャンスが生まれたわけで、それこそメジャー全球団を巻き込んだ激しい争奪戦が繰り広げられるのは確実。

 23年のストーブリーグの話題は大谷一色になりそうだ。

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