いまでも思い出すと心臓がバクバク…ボクが闘将・星野仙一さんの自宅に乗り込んだ時のこと

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 しばらくすると、タクシーが止まりました。眼前に立ちはだかる豪邸には、大きなシャッター。意を決してチャイムを鳴らしました。応対したのは奥さんでした。事前に、マスコミ関係者からボクが訪ねる旨は伝えられていました。「どうぞ」と言う声が聞こえると、シャッターが「ウィーン」と音を立てて開きます。

「こちらへどうぞ」

 奥さんに別宅のようなところに案内されました。壁にかけられた有名な画家の絵画がまばゆい光を放ちます。奥さんが運んでくれた麦茶を一気に飲み干し、闘将の登場を待ちました。

「おう、わざわざご苦労さんやったな」

 星野さんがビンビンにオーラを発しながら、部屋に入ってきました。

「オールスターに選んでいただいて、ありがとうございました!」

 星野さんの自宅に乗り込んだのは、何としてもお礼を言いたかったからでした。

 この年、最終的に12勝をマークしたボクは、オールスターに監督推薦で選ばれました。セの監督が星野さん。ただ、グラウンドでは挨拶に行けませんでした。ボクの恩師である関根さん(当時ヤクルト監督)に、「挨拶なんか行かんでいい!」とキツく言われていたからです。「成績を残しているんだから選ばれて当たり前。堂々としてろ」という関根さんの親心もわかります。でも、先輩からは何度も「挨拶に行け」と言われていました。一言だけでも「ありがとうございました」と言いたかったのです。

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