【地震の新常識 前編】「地震!火を消せ」はなぜ変わった? いま警戒すべき“新たな火元”
近年、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの発生リスクが指摘される。いつ起きてもおかしくない災害に備える必要があるなか、今回は地震発生時の行動の新常識を振り返りたい。たとえば火災。「地震が起きたらまず火を消す」──と、防災の常識として周知されてきたが、現在、大きな揺れの中で慌ててコンロへ向かうことは、むしろ危険な場合があるという。
一方、家庭にはモバイルバッテリーやポータブル電源などが増え、地震時に警戒すべき「火元」そのものも変わってきた。
元東京消防庁目黒消防署副署長で「防災まちづくり研究会」会長の阿部慶一氏が言う。
「『地震! 火を消せ』という考え方は、1923年の関東大震災で東京の市街地が大火災に見舞われた経験から広まりました」
その後の地震で別の危険性も分かってきた。転機のひとつが、1987年12月に発生した千葉県東方沖地震だった。発生は午前11時すぎ。小中学校などでは給食の調理中で、揺れによってフライヤーや鍋から加熱中の油が飛び出し、調理員がやけどを負う被害が複数発生したという。1995年の阪神・淡路大震災でも、揺れている最中に火を消そうとすることで、やけどや転倒などの危険が生じることが問題になった。

















