「橋を透して見た風景」紅林章央著

公開日: 更新日:

 明治31年に完成した日本初のアーチ橋である浅草橋を設計した金井彦三郎は、岐阜の下級武士の家に生まれた。4歳で父を亡くし、廃藩置県で禄を失い、苦学して東京府の下級役人となり、東京に架けられた橋のほぼすべてに関わることになった。アーチ橋を実際に見たことはなかったが、英字本だけを頼りに独学で設計したという。

 また、辰野金吾が設計した東京駅の基礎構造の変更を行う。関東大震災で旧丸ビルには多数の亀裂が入ったが、東京駅にはひびひとつ入らなかった。日本がモデルにした欧米には耐震の概念はなかったが、金井の技術が震災の被害を防いだ。

 橋造りに関わった技術者たちの記録。(都政新報社 2300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘