「伊勢物語 在原業平 恋と誠」髙樹のぶ子著

公開日: 更新日:

 平安時代の歌物語「伊勢物語」の主人公は、希代のプレーボーイ、在原業平とされている。しかし、著者は彼が残した歌から伝わる深い真情からは、どうしてもそうは思えず、1000年以上も間違ったイメージで語られてきたのではないかという。伊勢物語を読み込みながら、そんな業平の素顔に迫る古典ガイド。

 最初の恋である春日野の姉妹、親子ほど年が離れた西の京の女など、業平が出会った女性たちから学んだこと、そしてその心の襞(ひだ)を読み解く。すると、女性に寄り添い、女性の身になって受けとめる感性を備えた業平は、単なる好色ではなく、そこに「きよらかなあはれ」があったという。その「きよらかなあはれ」こそ平安の雅の本質であり、現代にも通じる「誠」の姿なのだと著者はいう。

(日経BPマーケティング 850円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  4. 4

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  5. 5

    timelesz篠塚大輝“炎上”より深刻な佐藤勝利の豹変…《ケンティとマリウス戻ってきて》とファン懇願

  1. 6

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  2. 7

    国民民主党“激ヤバ”女性議員ついに書類送検! 野党支持率でトップ返り咲きも玉木代表は苦悶

  3. 8

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  4. 9

    波瑠のゴールインだけじゃない? 年末年始スクープもしくは結婚発表が予想される大注目ビッグカップル7組総ざらい!

  5. 10

    アヤックス冨安健洋はJISSでのリハビリが奏功 「ガラスの下半身」返上し目指すはW杯優勝