視聴者の不信を助長させた2013年の「テレビ界」を振り返る

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 日本でテレビ放送が開始されてから60周年を迎えた2013年。将来編まれる放送史には、「あまちゃん」(NHK)と「半沢直樹」(TBS系)の年だったと記されるはずだ。近年その凋落ぶりばかりが話題となっていたテレビだが、中身によっては見る人たちの気持ちを動かせることを再認識させた意義は大きい。

 しかし、その一方でテレビが自らの首を絞めるような不祥事も多かった。まず、ガチンコ対決を標榜してきた「ほこ×たて」(フジテレビ系)のヤラセ問題だ。「どんな物でも捕らえるスナイパー軍団VS.絶対に捕らえられないラジコン軍団」で、対決の順番を入れ替えるなど偽造を施していたのだ。

 また、猿とラジコンカーの勝負では、猿の首に釣り糸を巻いてラジコンカーで引っ張り、猿が追いかけているように見せていたという。特に後者は動物虐待でもある悪質な演出だ。

 さらに問題なのは、過去の真剣勝負まで疑いの目で見られたことだろう。町工場の職人技など、「モノづくり日本」の底力をバラエティーの形で見せてきた功績も、視聴者を裏切る形で損なわれてしまった。一連の背後には、かつての「発掘!あるある大事典Ⅱ」(関西テレビ系)のデータ捏造事件と同様、テレビ局と制作会社の関係における構造的な問題も存在する。BPO(放送倫理・番組向上機構)はこの件の審議入りを決めたが、ぜひ深層にまでメスを入れて欲しい。

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