視聴者の不信を助長させた2013年の「テレビ界」を振り返る

公開日: 更新日:

 日本でテレビ放送が開始されてから60周年を迎えた2013年。将来編まれる放送史には、「あまちゃん」(NHK)と「半沢直樹」(TBS系)の年だったと記されるはずだ。近年その凋落ぶりばかりが話題となっていたテレビだが、中身によっては見る人たちの気持ちを動かせることを再認識させた意義は大きい。

 しかし、その一方でテレビが自らの首を絞めるような不祥事も多かった。まず、ガチンコ対決を標榜してきた「ほこ×たて」(フジテレビ系)のヤラセ問題だ。「どんな物でも捕らえるスナイパー軍団VS.絶対に捕らえられないラジコン軍団」で、対決の順番を入れ替えるなど偽造を施していたのだ。

 また、猿とラジコンカーの勝負では、猿の首に釣り糸を巻いてラジコンカーで引っ張り、猿が追いかけているように見せていたという。特に後者は動物虐待でもある悪質な演出だ。

 さらに問題なのは、過去の真剣勝負まで疑いの目で見られたことだろう。町工場の職人技など、「モノづくり日本」の底力をバラエティーの形で見せてきた功績も、視聴者を裏切る形で損なわれてしまった。一連の背後には、かつての「発掘!あるある大事典Ⅱ」(関西テレビ系)のデータ捏造事件と同様、テレビ局と制作会社の関係における構造的な問題も存在する。BPO(放送倫理・番組向上機構)はこの件の審議入りを決めたが、ぜひ深層にまでメスを入れて欲しい。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾