視聴者の不信を助長させた2013年の「テレビ界」を振り返る
最後に特定秘密保護法である。正面切ってこの悪法に反対したテレビ局があっただろうか。いや、百歩譲って、この悪法の問題点をどこまで本気で伝えただろうか。報道機関として自身も多くの制約を受けることよりも、政権や監督官庁の顔色を気にして鳴りを潜めていたとしか言いようがない。こうした態度もまたテレビへの不信感を助長させるものだ。
「あまちゃん」と「半沢直樹」で、一時的とはいえ輝きを見せたテレビ。来年の盛り上がりが、ソチオリンピックとワールドカップ・ブラジル大会だけでないことを祈りたい。
(上智大教授・碓井広義=メディア論)