(4)リスクは「ある」「なし」でなく「量」で考える…いい加減な情報にだまされない
2020年の消費者意向調査報告書によると、「添加物を使用していない旨の表示のある商品を購入している」と答えた人は、「いつも」「できる限り」「気づけば」が合わせて62%。その理由は、複数回答で「安全と感じるため」(66%)、「健康に良さそう」(52.8%)、「おいしそう」(11.5%)、「添加物を避けるよう教わったため」(8.5%)だった。
しかし、本連載で再三指摘しているように添加物の入った食品よりも無添加食品の方が「安全」との考えに科学的根拠はない。なぜ多くの人は「添加物は危ない」と信じ込むのか? 日本食品安全協会代表理事で、鈴鹿医療科学大学の長村洋一客員教授が言う。
「高度成長期に起きた水俣病や四日市ぜんそくなど、多くの人の健康被害をもたらした公害のイメージが、化学物質全体の悪い印象と不信感につながったのでしょう。それが添加物の嫌悪感に結びついたと思います。加えて化学や食品、食中毒への知識の浅いメディアが添加物の過激で誤った情報を繰り返したことで教育現場の指導者や親御さんたちも誤った情報を子供に伝えた可能性が高いと思います」