著者のコラム一覧
野地秩嘉ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュや食、芸術、文化など幅広い分野で執筆。著書に「サービスの達人たち」「サービスの天才たち」『キャンティ物語』「ビートルズを呼んだ男」などがある。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

<第12回>「あの頃は一生懸命だった。ただ懸命に芝居をしていた」

公開日: 更新日:

あの頃と今とでは時代が違う。映画は娯楽の王様、映画会社は夢の工場でした。今と違って芸能界は遠い世界で、スターさんには銀幕でしか会えなかった」

 そんな時代の本格的大作映画が「飢餓海峡」だったのである。本作における高倉健の存在感はやや希薄といっていい。しかし、彼にとっては、落ち着いた演技、考える演技ができた、またとない機会だったと思われる。この時代のことを振り返って、彼はこう話していた。

「あの頃は一生懸命だった。ただただ一生懸命に芝居をしていた。目立ちたいとも思ったし、共演の人を食ってやりたいとも考えました。少しでも目立つために銀歯を入れようとしたり、頭にハゲをつくろうとしたり……。跳びはねる芝居をやろうとしていたんですよ。ただ、そういう演技は誰でもできるんです。難しいことじゃないんだ。

 役を受けるときでもギャラがいい、パーセンテージがいい、と条件のことばかり考えていました。まるでおなかをすかした子供みたいなもんでね。自分を奮い立たせて役に向かうためにそんなことばかり考えていた時期もあったんです」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃