映画「ソロモンの偽証」成島出監督特別インタビュー(下)

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 みんな体も心も未熟だから、悩みすぎるとそうなってしまう。だから、今回の映画でも松重(豊)さんとか永作(博美)とかとは、子供たちのこれからについて相談しました。そこで出た結論は「なるべく普通でいてもらうこと」。今、この作品を当ててやる! というのじゃなくて、ちゃんと学校に行ってもらって家庭を大事にするというのが大事なんじゃないかと。やがて心と体ができてきたら舞台の練習するとか、そこから芸の世界、映画の世界にくればいい。

 彼女たちにとって芸能界は、軟式野球で優勝していきなりプロ野球に入ろうとしているようなもの。

 まだプロ入りするための“肩”ができていない状態なんです。プロの本当の現場に耐えられるには心身ともに鍛えてからじゃないと、吉永さんほどの人でも悩んで声が出なくなってしまうような過酷な世界。壁にぶつかるのは当たり前だから、ゆっくり“肩”をつくって「150キロのまっすぐ」をちゃんと投げられるようになってから「変化球」を覚えないとダメ。今、バリバリで子役をやってる子は「100キロちょっと」しか投げられないのに、小手先の「変化球」を覚えて、しかもそれが通用しちゃうから伸びないし、肩を壊すんです。こっちは「目いっぱいの直球」がほしい。だから今回のオーディションで子役出身のベテランが誰も残らなかった。

 今回出てくれた子たちには、慌てずにゆっくり成長してほしいですね。

(おわり)

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