著者のコラム一覧
ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「松本人志とお笑いとテレビ」(中央公論新社)などがある。

引きこもりと貧困生活…髭男爵・山田ルイ53世の壮絶半生

公開日: 更新日:

 子供の頃、あなたの学校にも1人くらいは「神童」がいたのではないだろうか。勉強も運動も得意で、異性にはモテモテ。ドラえもんの出木杉くんのように万能で完璧だった彼らは、果たしてその後、どのような大人になっていったのだろうか?

 髭男爵の山田ルイ53世(41)といえば、貴族キャラで「ルネッサーンス!」のギャグで一世を風靡した芸人。そんな彼の著書「ヒキコモリ漂流記」(マガジンハウス)では、神童と呼ばれた自分がひょんなことから道を踏み外して、引きこもりになって社会のレールから外れていく過程が克明に描き出されている。

 彼が語る人生のピークは小6。何をやらせても完璧でクラスのリーダー的な存在だった。ところが、名門中学に入り、教室で大便を漏らしてしまった時から転落が始まった。厳しい両親のもとで精神的にも追い込まれ、夏休みの宿題にも手をつけられなくなり、ついには登校拒否に。そこからは何年もの間、家に引きこもるようになり、家から出るのはバイトに行く時だけ。「人生が余ってしまった」と無気力に陥っていた。

 自分と同じ世代が成人式を迎えているニュースを見て、「このままじゃ駄目だ」と一念発起。大検を受けて愛媛大学に入った。友人に誘われてお笑いコンビを組んだのがきっかけで、芸人になることを決意。上京して養成所に入ったものの、すぐ売れるのではないかという楽観的な期待は外れ、芽が出ないまま養成所を中退。貧困生活は続き、ときにはゴミを漁って食料を得たこともあった。生活費を稼ぐために借金を重ね、ついには返しきれなくなって債務整理。どこまでいっても光は見えなかった。

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