<中>世の中が“右へ倣え”の風潮の中、役者は何をすべきか

公開日: 更新日:

 ただ、役者をやりたいっていう若い人には「あまりすすめられないな」と話しています。世の中全体が“右へ倣え”でキナ臭い方向に向かいつつある。このままエスカレートしていったら、芸術や芸能にとっても由々しき問題です。そうした危機感は常に持っていますが、これは戦友である小林稔侍も樹木希林も同じ。「あとのことは知らねえや」っていう気持ちが片一方にありながら、役者であり続ける限り、危機感を持って肥えた目を持つお客さんに応えられるような芝居を作り続けていかなければいけない。そんなふうに自分たちに課しているところがありますね。

 これからますます深刻になるかもしれない状況を打破するウルトラCは何か。残念ながら、僕はそれを持ち合わせていません。それでも悩んでいるうちに、似たような考えを持った人がきっと手を差し伸べてくれるだろうし、共感もしてくれるだろう。これからも折に触れ、忘れないようにしていきたいですね。何だか大それたことばかり言っているようで、お尻の穴がむずがゆくなってきましたよ(苦笑い)。
(つづく)

▽はしづめ・いさお 1941年、大阪府出身。文学座、劇団雲を経て、75年に演劇集団円の設立に参加。以降、舞台・映画・テレビ等幅広い分野で活動。27日、主演作「家族はつらいよ2」(山田洋次監督、松竹系)が公開。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝