『イッツ・オンリー・ラヴ』ジョンの作品に無自覚にあふれ出てくるポップ性
- 印刷
- >> バックナンバー
- 今だけ無料
アルバム『ヘルプ!』(1965年8月6日発売)⑨
1曲目(無料)から読む
■『イッツ・オンリー・ラヴ』
今回の2曲は、映画で使われていないB面曲であり、かつ地味っちゃあ地味な短い曲である。
それでもファンの間で人気が高い。特にアメリカ人好みの曲らしく、次作『ラバー・ソウル』のアメリカ編集盤に、『ひとりぼっちのあいつ』などの強豪を制して収録された2曲でもある(英米で収録曲が統一されるのは『ラバー~』の次の『リボルバー』から)。
まずはジョンによる『イッツ・オンリー・ラヴ』を。ファンの間で人気が高いだけでなく、かつ「ジョンが嫌っていた1曲」としても知られている。
いやいや、これはええ曲でっせ。
↓………ここから続き………
とにかくメロディー(特に試聴リンク再生時間「0:08」からのAメロ)が実に優美で、かつ韻を踏んで踏んで踏んでまいった歌詞とのかみ合わせもいい。
そして再生時間「0:33」からのサビは、何というかちょっとJポップ的。今の日本で誰かがカバーしたら、福山雅治の同名曲(1994年)よりも売れるのではないかと思わせる。
そんないい曲をジョンが嫌った理由も何となく分かる。メロディーも歌詞も一級品のポップソングだったことが、生き方に激しさを増していく、後年のジョンにとって我慢ならなかったのだろう。
でも、ちょっとややこしい話をすると「自らのポップ性に無自覚なジョンの作品に、無自覚にあふれ出てくるポップ性」が私は大好きなのだ。
■『夢の人』
原題は歌い出しの歌詞同様「アイヴ・ジャスト・シーン・ア・フェイス」。意味は「さっき見た彼女の顔」で、「忘れられないから、今夜も彼女の夢を見よう」と歌われる。なので「夢の人」。
ずっとジョンに後れを取っていたポールが、夢から覚醒した感じで『イッツ・オンリー・ラヴ』と張り合っているように聴こえる曲である。
私自身も大好きで、この曲を聴くと今でもビートルズ漬けだった高校時代を思い出してしまう。
私同様、そんな『夢の人』好きにおすすめしたいのが、昨年リリースされた『アンソロジー4』に収録された、この曲の「テイク3」である。
きれいに仕上げられた完成版に至る前、まさに覚醒しまくりで演奏したような躍動感のあるバージョンが聴ける。
そしてビートルズファンは今さらながらに「演奏うまいなぁ」と思うのだ。そしてこうも──「夢のような演奏やな」。
■「日本の新しい音楽1975~ "New Music" from 1975」発売!
スージー鈴木氏の大好評連載が書籍化されました!Amazonでも好評発売中です!
■著者最新刊「日本ポップス史1966-2023~あの音楽家の何がすごかったのか」 絶賛発売中!Amazonでのお求めはこちらから
■好評連載「沢田研二の音楽1980-1985」をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」(日刊現代/講談社)発売中!


















