著者のコラム一覧
井上顕滋非認知能力開発専門家

非認知能力開発の専門家。日本初の非認知能力開発専門塾「Five Keys」設立者。最先端の心理学と脳科学を融合させ、人の能力を最大限に引き出す独自の能力開発メソッドを確立した。3000社以上の企業幹部指導や、オリンピック日本代表選手のメンタルトレーニングを担い、圧倒的な実績を上げる。未来の成功者を育てるため教育活動に尽力し、これまで指導した保護者は6万人を超える。著書に『12歳までに伸ばしておくべき 5つの非認知能力』などがある。

「うちの子、ADHDかも?」と悩む前に…親が知るべき「本当のADHD」と「勘違いADHD」の決定的な違い

公開日: 更新日:

増加する親の不安「ADHDグレー」の背景にある共通点

 子どもの「落ち着きがない」「集中力が続かない」といった様子に不安を抱える保護者が増えています。かつて「やんちゃ」で済んだ行動も、今では「もしかしてADHDかも」と専門家に相談し、「ADHDグレー」と診断されるケースも少なくありません。そうした家庭に確認すると、乳幼児期の環境に共通点がありました。それは、幼いうちからタブレットやスマホを制限なく使用させ、スクリーンを見る時間が非常に長かったということです。

 ADHDは先天的な要因で脳が独特な発達をする特性であり、驚異的な集中力や発想力、好奇心旺盛な行動力など、優れた資質を持つ人が少なくありません。先天性ADHDなら、その強みを伸ばす環境を与えることが重要です。一方で、後天的な環境によってADHDに似た症状が現れる子どもも増えています。これは乳幼児期の過度なスクリーンタイムにより脳の発達に偏りが生じることが原因とされる「勘違いADHD」とも呼べる状態です。先天性ADHDのような優れた側面が「勘違いADHD」の子にあるかはまだ明らかになっていません。

■スクリーンタイム過多が引き起こす脳への悪影響は? 前頭葉と非認知能力へのダメージ

 過剰なスクリーンタイムが「ADHDのような症状」を引き起こすことは多くの研究で示されています。ここでは科学的根拠として信憑性が高いものを1つ紹介します。

 中国で約4.2万人を対象とした大規模研究(2022年)では、乳幼児期(0~3歳)の視聴時間が長いほど3歳時の多動傾向が強く、1日3時間以上視聴したグループでは、見ない子に比べ多動症状の出現リスクが4.62倍高くなることがわかりました。 前頭葉は「注意や集中力」「衝動の抑制」「計画や判断」など高度な認知機能を司る部位です。この調査を含む複数の研究から、乳幼児期にスクリーンを見せる時間が長いほど、この領域に発達の遅れが生じやすくなり、“ADHDのような”症状を強めると指摘されています。

 年齢が上がると顕著な悪影響が現れないというデータもありますが、小学生のうちは脳が急速に発達する時期であり、過剰なスクリーン刺激のリスクは軽視できません。

 大脳の約30%を占める前頭葉は、注意力、判断力、自発性、計画性、感情や理性のコントロールなどの、いわゆる非認知能力に深く関わっています。前頭葉の機能が低下すると衝動的な行動が増え、感情が不安定になり、学習面でも集中力が欠け成果が出にくくなるなど、様々な問題が生じる可能性があります。逆にいえば、スクリーンタイムを適切に管理することで、こうしたリスクを最小限に抑え、子どもの健全な成長を後押しできるとも考えられるのです。

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