久保建英、鈴木彩艶だけが「突出した才能」だったが…W杯候補の教え子たちの現在地(U17日本代表元監督・森山佳郎)

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DF瀬古歩夢(仏1部アーヴル/25歳)、DF菅原由勢(独1部ブレーメン/25歳)、FW中村敬斗(仏2部スタッド・ランス/25歳)ら

 U-17日本代表を4世代に渡って指導した森山佳郎監督(仙台監督)は、これまでにDF槙野智章(藤枝監督)、FW久保建英(レアル・ソシエダ)をW杯の大舞台へと送り出している。彼らW杯戦士に続くのは誰なのか? 「00年世代」を中心に教え子たちに期待することを聞いた──。 

  ◇  ◇  ◇

 ──久保と一緒にU-15代表から上がってきた選手に瀬古歩夢がいます。

「瀬古はヤンチャで、セレッソ大阪の関係者から『代表に行くと勘違いするので呼ばないでください』と釘を刺されました(笑)。でも僕が視察に行くとバリバリに活躍するんです。サイズがあり、技術が高く、強気で物怖じしない性格で大物になりそうな予感は確かにあった。『こちらで教育しますから』とセレッソには伝えて、継続的に呼びました。ただ、U-17でも練習態度が悪くて僕に怒鳴られることが何度かありましたね。本人はあっけらかんとしていましたけど(笑)。あの強心臓は頼もしいです。2022年には海外に行き、スイスという注目されないリーグでコツコツと実績を積み上げ、欧州5大リーグにステップアップを果たしました。日本代表では何度かやらかして、森保さん(一=監督)から呼ばれない時期もありましたけど、ここへきてチャンスをつかみつつある。楽しみですね」

 ──菅原由勢(ブレーメン)もコアメンバー。

「名古屋U-15にいた中学生時代から、由勢は大人と普通に会話できる大人びた子。賢いし、吸収力も高くて、伸びそうな人材だと感じました。チームではFWとか中盤をやっていましたが、僕は右SBの適性があると思ってそこで起用し続けた。自分が見たU-17代表4世代の中で、全活動に参加した皆勤賞は由勢ただ1人。<無事是名馬>という言葉がありますけど、まさに彼はそうです。2018年にオランダへ行ってイングランド、ドイツでプレー。日本代表も森保監督の第2次体制では常連になったと見ていたんですが、3バック変更の煽りを受けた形になった。それでも彼は守り抜きたい時の右WBや3バックの右で使える人材。それにチームの盛り上げ役として長友佑都選手(FC東京)の後継者になれるだけの器があると思うので、期待したいですね」

 ──中村敬斗(スタッド・ランス)も同じ2000年生まれです。

「敬斗も初期から呼んでいたメンバー。ただ、日本代表になったことは正直、一番の驚きです。タケ、瀬古、由勢、彩艶(鈴木=パルマ)なんかは、17歳の段階で日本代表に入るとは思いましたが、敬斗は未知数の存在だった。三菱養和という町クラブにいたせいか、ワイワイと賑やかな瀬古や由勢たちのグループからは、少し距離を置いて『自分は自分』というスタンスでしたし、どうなっていくのか注視していました。当時から敬斗はシュートが強烈で、得点は一番決めていた。自分の間合いになった時の迫力は凄まじいものがありました。右MFで使っていて、仕掛ける力もありました。今は攻撃に加えて守備力が格段に伸びた。それが代表定着につながったのかなと感じます。イングランド戦を見ながら『敬斗がWBでここまで守れるとは信じられない』と思いましたが、三笘薫(ブライトン)や堂安律(フランクフルト)も同じポジションでやっている。ハードワークができないと世界では戦えないと痛感させられますし、仙台の選手にもそのことを常日頃から言い続けています」

ポテンシャルも人間性も圧倒的だった鈴木彩艶(伊1部パルマ/23歳)

 ──鈴木彩艶は「00年世代」の飛び級でした。

「2017年のU-17W杯に(15歳で)連れていきましたが、当時は谷の控えでした。谷は今、PKストッパーとして名を馳せていますが、U-17W杯ラウンド16のイングランド戦では止められず、本人も悔しい思いをしたんです。それを糧に2021年夏の東京五輪準々決勝のニュージーランド戦で止め、今に至っている。その姿を彩艶は、どちらもベンチから目に焼き付けたはずです。その頃から彩艶のポテンシャルは圧倒的だった。『将来、日本代表になる可能性は非常に高い』と感じたので、浦和にも『すぐに試合に出すか、他に行ってプレーさせるか考えてほしい」とお願いしたくらい。2021年のトップ昇格後も、西川選手がいて試合に出られなかった。そういう空白期間がなければ、10代での日本代表もあり得た。そこまで突出した才能だと感じたのは彼とタケの2人だけです。彩艶は人間性も素晴らしくて、U-17代表に来ると率先して片づけをしてくれました。試合に出た後も最後まで気を遣うので『片付け禁止令』を出したほど。ああいう子はなかなかいませんね」

 ──鈴木と同じ2002年生まれの藤田譲瑠チマ選手(ザンクトパウリ)も2026年W杯の有力候補です。

「譲瑠は、2019年U-17W杯の直前に呼んだ選手ですが、来た途端に中心選手になるほどコーチング力と統率力が秀でていました。直後にコロナ禍に突入して無観客試合が行われましたけど、東京ヴェルディを見に行くと譲瑠の声しか聞こえないくらい、率先して意思統一を図っていて物凄く目を引きました。視野が広くて状況判断も速いのでミスも少なかった。彼はサイズには恵まれていませんけど、賢さと技術の高さでそれをカバーしている。僕も左SBで使ったことがありますけど、今のザンクトパウリでやっているシャドウも含めて、いろんな使い方ができるのも強みですね」

 ──その下の世代の後藤啓介(シントトロイデン)、佐藤龍之介(FC東京)も教え子。若手の選手層も向上しました。

「森保さんが誰を選ぶのか分かりませんが、先を見据えて20歳前後の彼らを連れていってほしいという気持ちはあります。日本はまだ世界一流国ではないですが、トップ5やトップ10に自信を持って挑めるところまでは来ました。今回のW杯は、そこに上り詰める好機です。本気で上を目指せるチームだと信じているので、いい結果を期待しています」

(聞き手=元川悦子/サッカージャーナリスト、絹見誠司/日刊ゲンダイ

▽せこ・あゆむ 2000年6月7日生まれ、25歳。大阪市出身。Jセレッソ大阪の下部組織から17年5月、16歳11カ月でトップデビュー。22年1月にスイス1部グラスホッパーに完全移籍。25年7月に移籍したフランス1部アーヴルでもボランチ、CBをこなしながら主軸としてプレー。19年のU-20W杯メンバー入り。21年東京五輪代表に選出されたが、出場機会はなかった。23年3月に日本代表初S選出。同年6月のペルー戦で代表デビュー。身長186cm・体重81kg。

▽もりやま・よしろう 1967年11月9日生まれ、58歳。熊本市出身。熊本県立第二高校から筑波大。91年にマツダ(現J広島)入り。94年に主軸右SBとしてJ前期優勝に貢献した。96年以降は横浜F、磐田、平塚でプレーして99年に現役引退。元日本代表。広島ユース監督、U-15日本代表監督などを経て23年にU-17日本代表を率いてW杯(タイ)に出場して優勝。同年代代表を史上初のアジア連覇に導いた。24年にJ仙台の監督に就任。

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