(10)年金繰り上げ反対論を論破する
5年遅らせると年金が42%増、10年なら84%増──前回、もらうのを遅らせることで年金を増やす「繰り下げ」を取り上げ、65歳以降の「魔術」などと書いたが、魔術だけあって、まるで「魔女退治」でも試みるかのように繰り下げに反対する声も多い。彼らの主張は的を射ているのだろうか。
よく聞くのは、「早く亡くなったら損」というものだ。繰り下げている間に亡くなると、年金をもらわないままになってしまうからだ。
確かにこの場合、自分の年金を受給して使う機会はない。しかし、本人がもらえなかった分、請求すれば遺族がもらえる。65歳時の「増えない年金」になるが、最長5年さかのぼってもらうことができる。家族全体で見れば「イーブン」なのだ。
「追いつくのが遅い」という意見もよく聞く。「追いつく」とは、原則通り65歳からもらい始めた人に、総受給額がいつ追いついて追い越すか、その時期を指す。
この場合、何歳まで繰り下げても追いつくまでに「12年弱」かかることがわかっている。68歳からもらい始めると約80歳だし、70歳からもらい始めると約82歳である。


















