身寄りのない独居高齢者を支える「成年後見制度」という選択肢
身寄りがなく、持ち家で1人暮らしをしていた80歳の男性患者さんのお宅に、私たちのクリニックが訪問することになりました。
きっかけは、自宅で糞尿まみれになり、動けなくなっているところを、地域の方に発見されたことでした。本人は「病院に連れてって……」とひと言。区の職員が対応し、救急搬送されることになったのです。
幸い、搬送先の病院のご厚意で4カ月間入院することができました。しかし、いつまでも病院に頼り続けるわけにはいかず、退院後は自宅で療養することになりました。
ところが、この方の自宅は電気・ガス・水道がすべて止まった状態でした。持ち家がある以上、資産を保有しているとみなされるため、生活費に困窮していても生活保護を受けるハードルは高くなります。さらに問題は、すでにADL(日常生活動作)が大きく低下していたことです。自分の医療に関する意思決定もできず、通帳の場所もわからない……。このまま1人で生活を続けることは不可能だったのです。
この方のように、長期間1人で暮らすうちに低栄養となり、活動量が減って筋肉が衰え、その結果、健康な状態と要介護状態の間にあたる「フレイル」の状態で地域に保護される高齢者は増えています。この患者さんの場合は、重度の認知症も重なっており、より深刻な状況でした。


















