著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

日本中に五輪がウザい人は大勢いる 考えろバカ政治家ども

公開日: 更新日:

 山あいの小さな町に逗留中、ゆで卵と薄いトーストのモーニングサービスのある、ひなびているけれど小粋な喫茶店に入るや、老人店主に「こんな雰囲気、都内にはないですよ。スタバなんてモーニングもないし、タリーズの厚切りツナのせは趣味じゃなし、どこも満員でボォッとできないし、たばこをくゆらせるなんて遠い夢です」と言うと、「ちょうど東京オリンピックの後、時代に逆らって店開いてね。大学出た時で、世の中が何か浮つき始めて、会社に行って馬車馬に働かせられるのもごめんだし、サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ時代は終わったと思って。店は50年経つけど、昔のまんま。どこも変えたくないんで」と、店主のかたくなな意志が見える答えが返ったので、気が引き締まった。

昭和」は遠のこうとしてるが、遠のく必要があるのか? 無理に遠のかせようとさせるのは誰なの? 何なのか? 改めて文明と文化の隔たりに疑問が湧いたよ。店主が続ける。「64年のオリンピックなんて騒々しかっただけで、あれでこの国のタガが緩んで、すべてに拍車が掛かり、背伸びしまくって、土地バブルで全部パーにしたんだから。ザマア見ろだよ。モノを作って売る側とモノを消費する側のバランスが総崩れして、おまけに中国やアジアに壊れやすい使い捨ての安モノを、また新しいのを買わせる魂胆で作らせるだけ作らせ、結局、余ってあっぷあっぷしてんだから」と。店主が俄然しゃべってきたので、コーヒーをお代わりした。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が

  2. 2

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  3. 3

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  4. 4

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  5. 5

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  1. 6

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  2. 7

    大食いはオワコン?テレ東番組トレンド入りも批判ズラリ 不満は「もったいない」だけじゃない

  3. 8

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    結局、「見たい人だけが見るメディア」ならいいのか? 「DOWNTOWN+」に「ガキ使」過去映像登場決定で考えるコンプライアンス

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が

  2. 2

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です

  3. 3

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  4. 4

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  5. 5

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  1. 6

    大食いはオワコン?テレ東番組トレンド入りも批判ズラリ 不満は「もったいない」だけじゃない

  2. 7

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  3. 8

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!