最新回の朝ドラ「あんぱん」ウラの見所~八木(妻夫木聡)と蘭子(河合優実)、“何か”が始まっちゃう? 嵩は作詞能力をいつ見抜かれたのか
第20週「見上げてごらん夜の星を」#98
【朝ドラのツボ!】
舞台公演は成功裏に幕を閉じる。数日後、なぜかぼんやりした様子の嵩(北村匠海)。そこに、また一緒に楽しい仕事をしようとたくや(大森元貴)がやって来る。しかし、嵩は聞く耳を持たず、やってみてはと言うのぶ(今田美桜)にも、口出ししないでくれと反論する。
それ以来、ぎくしゃくする2人。そんな中、のぶは嵩に内緒であることをしていた。何も知らず八木(妻夫木聡)に会い行った嵩は、目の前の光景に目を疑う。
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【本日のツボ】
八木と蘭子がシェイクスピアで急接近!?
※※以下、ネタバレあります※※
舞台の後、嵩は燃え尽き症候群になったのか、ぼんやりとして漫画も手に付かない様子です。たくちゃんがせっかく、一緒に仕事をしようと声を掛けてくれたというのに、やる気ゼロ。
というか、嵩、基本やる気ゼロなんですよね。唯一、発奮するのは、のぶに「たっすいがーはいかん」と叱られた時。こんな調子で大丈夫なのか心配になります。
そんなふうに頼りない嵩ですが、たくちゃんは「柳井さんは歌詞が書ける人だ」とその才能を見抜いたようです。嵩が描いた漫画を見てそんなふうに思ったということでしたが、仕事がない嵩のどの漫画を見たというのでしょう。
(C)NHK
のぶ、八木の店でダブルワーク
それで、のぶです。八木の雑貨店でダブルワーク。そこに蘭子がやってきて、「雑貨屋さん手伝いゆうて、本当やったが」とかなんとか。八木に「どうも。姉がお世話になっています」とあいさつするも、「世話なんかしてないですよ」とぶっきらぼうに応える八木。
そのわりには、のぶと蘭子、姉妹の会話に聞き耳を立てている様子で、
「嵩さん、作詞の仕事、断ってしもうたがよ」「えっ。なんで」「漫画1本に集中したいみたい」「けんど。漫画の仕事はあいかわらずないがやろ?」「そうやけんど……」
ふたりの会話に「あいつの書く言葉は全部、俺には詩に聴こえるけどな」と割って入ります。
八木と蘭子、何かが始まった予感
「そんなふうに感じるあなたも詩人ですね」と蘭子に言われて、「ただの雑貨屋の親父だよ」と八木。
「妹は会社勤めをしながら、雑誌に映画の記事を書いているんです」とのぶが蘭子について話すと、「独立は考えないのか?」と八木。「会社辞めたい、思うことはありますけど。……うち学歴ないがやろ。タイプが早う打てても、それで見下す人、おるき」と蘭子。
蘭子は何をしてる人なの? と気になっていましたが、タイプライターのようです。たしか高知から東京に転勤したはずでしたが、タイプライターだったとは!
「妹は郵便局で働いて、うちの家族を助けてくれたんです」とのぶ。
「逆境が人に及ぼすものこそ輝かしい」と誰にいうでもなく言葉にする八木。
「おー、シェイクスピア」と蘭子。
「だから今の君があるんじゃないのか」という八木をみつめる蘭子。
これはもう何かが始まったと思って間違いありません。
店に来た嵩に八木が「のぶさんはお前に好きなことをやらせるために2人分働いているんだよ」と言っていましたが、この狭い店で、おもな商品は孤児院の子どもたちが作ったカードくらいのものなのに、人を雇える余裕などあるのかと、そちらのほうが心配です。でしょうか。
名曲の誕生の瞬間
雨の中、自宅に戻ってくる2人。ほどなく停電になり、懐中電灯でてのひらを照らし、「って帰るふたり。なんだかんだと、懐中電灯でてのひらを照らし、「手のひらを、透かして見れば、真っ赤に流れるぼくの血潮」と。いまも歌い継がれる名曲の誕生でした。
ほいたらね。
(桧山珠美/TVコラムニスト)