物議醸した甲子園“女人禁制騒動”から9年…渦中にいた大分高元マネジャー首藤桃奈さんが語る当時と現在

公開日: 更新日:

 2016年夏、高野連によって甲子園練習のグラウンドから退場を命じられた女子マネジャーがいた。根底にあった「女人禁制」という規則は大きな議論を巻き起こした。あれから9年。女子マネジャーもグラウンドに立てるようになり、女子野球も甲子園球場で試合が行われるなど、高校野球に大きな転機をもたらした。社会人になった首藤桃奈さん(26)に話を聞いた。

  ◇  ◇  ◇

「甲子園球場練習の前日に部長から呼び止められ、『桃奈も3年間、頑張ってきたんだ。何度も手引書を読み返して確認をした。明日これを着て、いつも通り補助をしてくれないか』と、ユニホームを手渡されたんです」

 一夜明けて迎えた当日。ユニホームに袖を通し、その上からジャージーを羽織った。

「大好きな大分高野球部のユニホームを初めて全身で着られてうれしかった」が、グラウンドに立つ踏ん切りはつかなかった。

「女子はダメなのではという不安な気持ちはなく、なによりユニホームがピチピチで恥ずかしくて(笑)。そんな中で室内練習時に部員から、『なんか服(ジャージー)がゴワゴワしてない?』とツッコまれた。一連のことを話したら、みんなが『いいじゃん! 出ようよ!』と。それで決心できました」

 結果的に途中退場となったが、規則は規則。今も昔も怒りはないが、首藤さんなりに思うところはあるという。

「たしかに『普通の女子』がグラウンドに立つのは危険です。でも、私たちマネジャーには、部員とともに汗を流してきた3年間の積み重ねがある。監督の後ろ姿だけで次にどっちへ動くか、指導が入るかどうかが分かります。『女子だから』とひとくくりにせず、私たちの日々の活動にも目を向けてほしかった。それが素直な気持ちです。私の行動で高校野球がいい方向に向かうきっかけになっていたら幸いです。が、当時を思い返して怖くなることもあります。大きくネットなどで取り上げていただきましたが、たまたま『女子マネがかわいそう』という方向に転がっただけで、ひょっとしたら、『女子が出場なんてけしからん!』となっていたかもしれませんから」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  3. 3

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 4

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 5

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

  1. 6

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  2. 7

    阪神・佐藤輝明の侍J選外は“緊急辞退”だった!「今オフメジャー説」に球界ザワつく

  3. 8

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  4. 9

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  5. 10

    古川琴音“旧ジャニ御用達”も当然の「驚異の女優IQの高さ」と共演者の魅力を最大限に引き出すプロ根性