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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

“絶滅寸前の昭和”を探し駆けずり回る悪戦苦闘の日々である

公開日: 更新日:

 お昼のワイドショー出演が終わり、映画製作の最終準備に追われている。8月から、いよいよ小生の新作ロケが始まる。ロケ場所のほとんどは昭和の匂いを残す駅裏の映画館だったり、コンビニなどなかった飲み屋街だったり、モルタルの2階建て住居や、いわゆる「純喫茶」がある古い商店街なので、制作部や撮影部が必死になって、関東や中部一円を探し回っているところだ。

 異常に暑い日本列島を西に東に駆けずり回って探すスタッフたちをねぎらう暇もないし、映画というのは本当に手のかかる“仕事”だ。昭和を探しに行くなんて、ロマンがあっていいじゃないかと思われるが、実はそれを当てにして行ってはイメージが外れて裏切られ、徒労の連続だ。グーグルマップなんかで景色を探しても、あんな写真じゃ当てにならず、脚本通りのイメージかどうか、結局は実際に足を運ぶしかないのだ。

 昭和はほぼ消えてなくなっている。懐かしさのかけらもない風景にゲンナリする。昔、どこの駅裏にもあった東映や日活や大映の小屋(映画館)がことごとく壊滅して久しい。ほんとにやるせなくなる。小屋こそ文化の拠点だった。パチンコ屋も文化か知らないが、街には街の裏の顔である名画劇場があった。小屋が消えるとその街の文明すらついえたように思う。

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