驚異の体をつくる「コールド・トレーニング」…エネルギーや頭髪の充実、メンタルになぜ効果的?

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 ヴィム・ホフというオランダ人の男がいる。

 氷点下の湖で15分間泳ぎ、雪の中をショートパンツでフルマラソンを走る。エベレストをショートパンツ1枚で踏破し、1時間15分も氷漬けになって座り続ける。普通なら凍死してしまう環境で、彼は体温を37度に保ち続ける。心拍数も血行も、ソファでくつろいでいるときと変わらない。

 彼の驚異的な能力を支えるのは「コールド・トレーニング」——意図的に身体を低温にさらす鍛錬法だ。では、なぜ寒さが人間の身体能力を高めるのか。経営者やアスリート、セレブリティー、病に伏せる人々まで虜にした驚愕のメソッドを詰め込んだ『氷超人』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。

 現代人は20度から21度の気温で過ごすことに慣れすぎてしまった。室温が上がって「暑くなった」と感じたらエアコンのスイッチを入れ、寒さ厳しい日も同様に暖房機のスイッチを入れることで、つねに快適な室温に設定する。勤め先や店舗でも、ほとんどの時間をおおよそ同じ温度のなかで過ごしている。二重ガラスや断熱材、コンクリートは、どれも快適と感じられる温度を維持するために役立つものだ。冬にはコートやマフラー、帽子、手袋、厚手の靴下を身に着け、心地よく感じられるように調整する。

 私たちは、その快適さに慣れ切ってしまった。残念なことだ。

 文明の利器を駆使し低温から身を守り続けることには、プラス面もあればマイナス面もある。であれば、低温を「活用」する方法を考えてみるのも悪くないはずだ。じつは身体を低温にさらすことは、私たちの健康や気分に好影響を及ぼす可能性に満ちている。

◼️プール通いを始めた子どもはなぜ風邪を引かなくなるのか?

 虚弱体質の子どもがプールに通うことで定期的に身体を低温にさらし、風邪ひとつ引かなくなったという話を耳にしたことはないだろうか。あるいは風呂上がりに冷たいシャワーを浴びることで、病気をしなくなったというような話を。

 トップアスリートたちは激しい運動の後、氷水に身を沈める。ウサイン・ボルト、クリスティアーノ・ロナウド、レブロン・ジェームズなど世界の頂点に立った人物だけでなく、数多くのプロスポーツ選手たちがアイスバスを利用してきた。

 スカンジナビアやロシア、中国の一部の地域では、氷の張った湖で泳ぐことが一般的だ。彼らは氷に穴を開けて、0度をかろうじて上回る冷たい水に浸かる。こうした習慣にまったく意味がないとも思えない。「低温」には何かしらの効用がありそうだ。

 2000年に公開されたチャールズ大学での研究では、1時間異なる温度(32度、20度、14度)の水に若い男性の被験者が頭まで浸かったところ、20度では代謝率が93パーセント上昇、14度の冷水では350パーセントも上昇したという結果が出た。そしてヴィム・ホフ・メソッドの片翼を担う、低温を活用した「コールド・トレーニング」の実践者たちからは、以下のような効果があったとの感想が寄せられている。

・血行改善
・心臓の強化
・頭髪の密度を高める
・肌の張りが増す
・エネルギーの増大
・気分の高揚
感染症への抵抗力が向上
・自信がついた

 低温に対峙するとき、あなたの身体には何が起こるのだろうか。どうすれば「低温」にさらされることが、こんなにも有益になるのだろうか。

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