大至伸行さんは力士からプロ歌手に異色の転身も 歌一本で食べていくのはまだ難しく…
大至伸行さん(元力士/56歳)
期待の新横綱・大の里が優勝を逃し、場所前には白鵬が日本相撲協会を退職するゴタゴタがあったものの、名古屋場所は終盤まで大混戦が続き、大いに盛り上がった。大相撲が話題になると、ワイドショーによく顔を出していたのが、元力士の大至さんだ。今どんな思いでいるのか。
「大の里は引きが目立つ相撲で、残念な結果でした。横綱たるもの、勝たねばならない重圧の表れ。新横綱も人の子だったんだと思いました。修復能力の高い横綱ですから、来場所は白星街道まっしぐらでしょう。一方、琴勝峰は重心の低さとスピード感が増し、今後、期待大ですね」
京王線初台駅から徒歩5分の音楽事務所で会った大至さん、まずはこう名古屋場所を振り返った。
「白鵬さんについては、協会は非常に惜しい人材を手放されました。協会と、白鵬さんの思う横綱像が違ったのでしょう。相撲は単なるスポーツではなく相撲道であり、人間形成でもある。白鵬さんには勝負だけでなく、相撲道も広めていただきたいですね」
よどみない語り口は、ワイドショーのコメンテーターとして引っ張りだこだった7、8年前と変わらない。
「ワイドショーから2017年に声をかけていただいたときは、正直、出演するかどうか迷いました。でも考えてみたら、出て話せる人って僕のほかにいなかった。協会について世間の人がもつイメージを軌道修正しなくてはいけない、と思ったこともあり、出演を決めました。コメントするときはいつも言葉を慎重に選び、一方に偏らないよう心がけています。関係者から『あそこは違うよ』と教えていただき、後日修正したことはあっても、『しゃべりすぎだ!』などと怒られたことはありませんよ」