2016年夏制覇の右腕、西武・今井達也が語る「聖地のすべて」と「プロでの現在地」
今井達也(西武・投手/27歳)作新学院 2016年夏優勝
2016年夏の甲子園で同校2度目の優勝を果たした作新学院(栃木)。エースとしてチームを牽引したのが、西武の今井達也(27)だ。下馬評では横浜(神奈川)、履正社(大阪)などが優勝候補に挙がる中、無尽蔵のスタミナを発揮し、決勝までの5試合で4完投。計616球の熱投で頂上に上り詰めた。そんな右腕に甲子園や部活動の思い出を中心に、プロでの現在地についても話を聞いた。
■初戦で初150キロ
──初戦から尽誠学園(香川)、花咲徳栄(埼玉)、木更津総合(千葉)、明徳義塾(高知)、そして決勝は北海(南北海道)と、並み居る強豪を打ち破って、深紅の優勝旗を手にした。
「強敵ばかりでしたね。でも、仲間はみんな楽しそうに野球をしていた。勝ち上がるにつれ、もっと上手にプレーをしたい、という思いが伝わってきて、それが強く印象に残っています」
──初戦から3試合連続完投勝利。準決勝の明徳義塾戦で唯一、途中降板(5回2失点)でした。
「悔しいとは思いませんでした。なぜかといえば完投が続いていたので、さすがに自分でも疲労を感じていましたから。それに僕以外にいい投手もいましたからね」
──決勝の北海戦では初めて先制点を許した。
「全く気にならなかったですね。ウチの打線なら絶対取り返してくれる、と信じていましたから。1点で抑えておけば何とかなる、と」
──ネット裏に大挙したプロのスカウトは「一戦ごとに成長している印象」と、絶賛だった。
「僕自身、成長は意識していませんでしたが、県大会の時よりは安定した投球ができている、とは実感していました」
──初戦の尽誠学園戦では、自己最速の151キロをマーク。3回戦の花咲徳栄戦では152キロと球速がグングン上がった。
「うれしさ半分、驚き半分でしたね。それまで一度も150キロを投げたことがなかったですから。高校2年で新チームになった時から、そこは目標としてありました」
──無尽蔵のスタミナでタフさを印象づけた。
「僕以外にもっと投げている投手はたくさんいますから」
──具体的に甲子園大会を意識したのは?
「やっぱり自分たちの代になってからです。1年先輩の代まで5年連続で夏の大会に出場していたので、それを途切れさせるわけにはいかないという重圧はありました」