“適度な寒冷刺激”のメリットが絶大なワケ…脂肪が燃えて感染症予防になる「コールド・トレーニング」
氷点下の湖で15分間泳ぎ続けるオランダ人ヴィム・ホフ。彼の身体では、通常の3倍もの代謝が行われている。震えることなく体温を37度に保つ秘密は、特殊な脂肪細胞にあった。
私たちの身体には「白色脂肪」と「褐色脂肪」の2種類が存在する。前者はエネルギーを蓄える貯蔵庫、後者はエネルギーを燃やす焼却炉だ。
寒さが呼び覚ます、身体に眠る「天然の脂肪燃焼システム」の正体とは? 経営者やアスリート、セレブリティー、病に伏せる人々まで虜にした驚愕のメソッドを詰め込んだ『氷超人』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
◼️低温は体脂肪の燃焼率を3倍にまで高めてくれる
2010年のホップマンほかの調査によれば、氷に埋まっているときのヴィムの代謝率は300パーセントにまで向上したという。これは彼の身体における熱産生量が大きく上がっていることを意味する。彼は自分の身体に備わっている「暖房機」の出力を、通常の3倍まで強められるのだ。そして、ほとんどの人に体温を保つための反応として震えが生じるが、ヴィムの身体は震えない。彼の身体が温かいままでいられるのは、氷に浸かる直前に「呼吸エクササイズ」で自律神経系を制御したからである。つまり「暖房機」の温度調節つまみを「強」にしたわけだ。
「コールド・トレーニング」を積み重ねることで、ヴィムは体内に多くの「褐色脂肪」を持つようにもなった。これらが身体を温かく保つことを、さらに容易にしている。ちょっと奇妙に思うかもしれないが、褐色脂肪は「脂肪が脂肪を燃やす」という現象を体内で起こしているのだ。