<8>大家さんに「誰の弟子なの」と問い詰められとっさに…

公開日: 更新日:

 二つ目になってすぐは、お披露目でどこの寄席にも10日間出られる。それが終わると、たいていの者はばったり仕事が来なくなり、前座時代よりも生活が苦しくなるのが常だ。きん歌もたちまち困窮した。家賃が払えない。

「なんと、9カ月も滞納しました。大家さんの催促も厳しくなって、『あんた、落語家だって言うけど、誰の弟子なの』と問い詰められたので、とっさに『円楽です』とウソをつきました(笑い)。いくらなんでもこれ以上滞納できないと、アパートで落語会を開くことを思いついたんです」

 老朽建築の善兵衛荘は、廊下が広いことだけが取りえである。きん歌はそこに目を付けた。

「この廊下に客を座らせれば100人は入るだろうと。1人1000円の入場料にして100人で10万円、9カ月分の家賃が払える皮算用です。払ったらアパートを出るつもりで、『さよなら善兵衛荘』という会にしました。円丈師匠に話したら、『アパートの廊下で落語会なんて面白いじゃない。俺、出るよ』と言ってくれたんです。急いでチラシを作り、知り合いと近所の人たちに配りました」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった