<3>遺品の時計の修理に50万かかると知った時に師匠の声が

公開日: 更新日:

 歌之介が師匠の形見分けでもらった遺品の中に、高価な物が2つあった。ひとつはクリソベリル・キャッツアイの指輪である。

「私の指に合うように、宝石屋さんでリングを継ぎ足して広げてもらいました。『クリーニングはしてますか』と聞かれたんで、『師匠が時々台所でママレモンで洗ってました』と答えたら笑われました。今では私の指にはまるようになってます。博多の料理屋のカウンターで、その指輪をはめて飲んでたら、近くにいた顔の怖いその筋の方が目ざとく見つけて、『いい指輪はめてるね』とうらやましげに眺めてる。隣に愛人の女性がいて、彼女に見せてやってくれと頼まれたので指輪を渡すと、彼女がはめて、『あたしにピッタリ』だって。慌てて取り返しました」

 もうひとつの高級品は時計だった。

「スイス製のオーデマ・ピゲです。晩年、師匠が愛用していた物で、高座に上がる前に、『持ってろ』と指輪と一緒に渡されると、楽屋の師匠方に、『なくすなよ。それ両方で1000万円だぞ』と脅かされたものです。手巻きでして、壊れていて動かない。修理するにはスイスの本社に送らないといけないので50万円くらいかかると時計屋に言われ、そんなにかかるんだったら使わずに置いておこうと思ったんです。ところが、『4代目円歌を継ぐやつが50万くらい出せないのか』という師匠の声が聞こえたような気がしましてね。修理費を惜しまずスイスに送って直してもらいました」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る