<6>四ツ谷駅で通りがかりの郵便配達員に円歌の家を尋ね…

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 高校3年生の年に野間賢(4代目円歌の本名)が漠然と考えていたのは、「自分の書いた物で人を笑わせることができる仕事ができたらいい」ということだった。そんな折、週刊誌で3代目円歌のインタビュー記事を読んだ。その文中に、「円歌になってからは、しばらく弟子を取っていない」とあった。「今の若い人は修業ができない」とも。

「ならば、この師匠に弟子入りして落語家になるチャンスだと思いました。記事の最後に、『四谷の自宅にて』とあったので、それを頼りに大阪から上京しました」

 1978年3月。四ツ谷駅に降り立ち、駅周辺をウロついていると郵便配達員が通りかかったので、円歌の家を尋ねたら教えてくれた。そこは麹町のお屋敷町にあった。

「インターホンを押したら小さなおじさんが出てきて、それが師匠でした。弟子にしてくださいと頼むと、うちは取ってないと断られましたが、あきらめるわけにいきません。大阪に戻ったら中華料理店で働くしかないんですから。しつこくお願いしたら、『親御さんの許しがないと他人の子供を預かることはできない』と言います。すぐ母親に電話して、翌日上京してもらいました。筆談でしか会話のなかった息子の頼み事を聞いてくれてうれしかったです」

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