「今の若手はしくじりもしねえ。芸人の匂いがねえんだ」

公開日: 更新日:

 元落語協会会長、現協会最高顧問。これが鈴々舎馬風の肩書である。今年の12月に傘寿(80歳)を迎えるが、今でも寄席の客席を沸かせる爆笑の漫談を演じている。

 今回は師匠の先代柳家小さん、兄弟子の立川談志、同期の親友、古今亭志ん朝らの思い出などを含め、大いに語ってもらった。

「俺たちの世代は昭和の名人の落語を聞き過ぎたね。志ん生、文楽、円生、小さん、そういった師匠連の高座を聞いてるから、この噺はあの師匠の十八番だからやっちゃいけない、この噺は若手にはとてもできねえと思ったもんだ。ところが、近ごろの若手は名人の得意ネタ、大ネタを平気でやって客を疲れさせるんだ。だから俺なんかは、疲れさせないことを心掛けてるね」

 漫談で爆笑させるのはそういう理由があったのだ。確かに馬風の高座は楽しく、客を疲れさせない。

「俺の若い時分は、落語家になるしかなかったという連中ばっかりだった。円鏡(後の橘家円蔵)、志ん駒、小益(現文楽)、皆そうだ。ところが、昨今はサラリーマンみたいな了見の若者が落語家になる。たいてい大学を出てて、社会人経験者も増えた。昔の楽屋は女と博奕の話で、それも失敗談ばかりよ。今の若手はしくじりもしねえ。芸人のにおいがねえんだ」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」