著者のコラム一覧
星野陽平ジャーナリスト

1976年、東京都生まれ。早稲田大学卒。編著に「実録! 株式市場のカラクリ」(イースト・プレス)、著書に「芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反」「芸能人に投資は必要か? アイドル奴隷契約の実態」(ともに鹿砦社)がある。2017年には公取委で「独占禁止法をめぐる芸能界の諸問題」の講演を行った。

セイン・カミュは事務所独立問題がこじれ芸能界から消えた

公開日: 更新日:

 実際、セインがR&Aを退職すると、R&Aは執拗にセインを潰しにかかったようだ。裁判が始まってから、R&Aはテレビ局などに対し「無断でセインを起用するな」などと執拗に要求。セインが出演した番組が放送されると「この業界にいられなくしてやる」「セインを使うなら、R&Aが抱える他の外人タレントを出演させない」などと恫喝し、トラブルを恐れたキャスティング担当者の多くがセインの起用を見送るようになった。

 セインがビールの新製品のCMに出演した際、R&Aが関わる「外国人タレントプロダクション事業協同組合」がFAXで大手広告代理店に質問状を送付し、セインのCM出演がR&Aに連絡なく決定した経緯などについて回答を求めた。こうした質問を装う嫌がらせにより、予定されていたセインのCM出演は中止に追い込まれた。

 裁判は1審、2審ともにセインの勝訴となったが、セインの芸能界復帰は容易ではなかった。

 その理由の一つには週刊誌報道の影響もありそうだ。報道によれば、セインのテレビデビュー作であるNHKの番組で大麻使用疑惑が持ち上がり、番組を降板させられていたという。この報道があったのは、R&Aの請求棄却が予想された控訴審判決の言い渡し日の直前だった。10年も前の話が蒸し返されたのは、セインに対する意趣返しだった可能性もある。

 (つづく)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因