「アスク・ミー・ホワイ」『イングランドの森』に迷い込むような寂しさ
「アスク・ミー・ホワイ」
これもアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』収録曲ながら、アルバムに先んじて、1963年1月、シングル『プリーズ・プリーズ・ミー』のB面としてリリースされた曲。
私をビートルズ沼に突き落とした曲である。
81年、中3の私がシングル『プリーズ・プリーズ・ミー』を買った話はすでに書いたが、そのときA面よりもB面のこの曲の魅力にシビれたのだ。当時はまだ音楽理論などよく分かっていなかった。なので、ものすごく感覚的に、この曲の持つ不思議なムードのとりこになった。何というか「イングランドの森に迷い込んだ感じ」がしたのだ。そんな森、行ったことも見たこともないけれど。
ただ今となっては、この曲の独特の魅力を理論的に説明できる。またコードの話で申し訳ない。歌い出し「♪アイ・ラブ【ユー・ーーー】」のところのコードがミソなのである。その名も「G#m7」。「ジー・シャープ・マイナー・セブンス」と読む。キーはEで、いきなりこのコードから始まる不思議さ。
あえて形容すれば「イングランドの森」にそろりそろりと入っていくような寂しさ、切なさを感じて、シビれたのだ。
そしてエンディング(再生時間「2:17」)でも、このコードが炸裂。最後の最後、また森の中に迷い込むような。
いろいろ調べたら、天下の大作曲家、大指揮者、大ピアニストのレナード・バーンスタインが、この曲を激賞していたらしい。さすがレナちゃん、分かってらっしゃる!
ボーカルはリンゴ。ビートルズのリードボーカルはやはりジョンとポールが多く、かなり差をつけられて次にジョージ。というわけでリンゴがメインを歌う曲はとても珍しい。その中でいちばん有名なのは『イエロー・サブマリン』だろう。
これはカバー曲で、元々はアメリカの黒人女性コーラスグループ・シ(ュ)レルズのヒット曲『ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロー』(60年)のB面曲。
『ウィル・ユー~』は作曲者のキャロル・キングのバージョンでも知られる有名曲なのだが、あえてB面に行くところが、さすが黒人音楽オタクのビートルズである。
聴きどころは、リンゴのボーカルではなく、むしろリンゴをかき消すように「♪バッシュワッ・バッバッシュワ」とうなる残り3人の大声コーラス。特にポールによる、もっとも上のパート。
録音直後、メンバー最年長のリンゴは3人にこう言ったという「うるせーよ!ボーイズ!」(嘘)。
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