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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

ホームレス受け入れ拒否 冷たい東京はジョーカーの巣窟か

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 芸能界も怪しい。俳優になる夢を抱えて東京に出てきた人間は数万人はいる。でも、バイトや日雇い仕事に明け暮れる者がほとんどだ。親に出してもらった金を芸能プロダクションに払う者も多い。「あなたも明日の○○や△△になろう! 未来のために」と自衛隊員の新規募集に負けじとキャッチコピーを掲げる俳優養成スクールに入り、スターを目指す。年間何百人も志望者を取り込む芸能プロはあちこちにある。

 もう20年間も俳優の夢を捨て切れない男の痛ましい話を聞いた。2年間で学費を200万円払っても芸能プロは簡単には売り出してくれなかった。自分の才能のなさに気づいても何とか売れたいと願うのがこの世界。次は違う大手プロの養成所に入り、3年間で350万円も吸い取られたのに、いまだ、本人は群馬で住み込みで派遣仕事をしながら、週1回、東京に来て芝居訓練を受けている。大金をかけて苦行を続ける俳優の卵たち。俳優とは「人にあらず、人より優れる」ものなのに、地べたを虫のように這いずっている。ゾッとしたのは、その彼が「ここまで不運だと、ジョーカーみたいに爆発しそうだ」と漏らしたそうだ。東京はジョーカーの巣窟か。台東区役所に差別され、建物の外で風雨に耐えた64歳のホームレスのことを、もっと思ってあげろよ。優しくない東京め!

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