舞台でセリフに詰まると二郎は歌い、欽坊は走った浅草時代

公開日: 更新日:

萩本欽一<後編>

 あまり芸が達者じゃなかった萩本欽一とは対照的に、相方の坂上二郎は多才だった。2人は東洋劇場で笑いを学んだのち、1966年にお笑いコンビ「コント55号」を組んだ。

「二郎は子供の頃から歌がうまかったし、地元の鹿児島にいたころに『NHKのど自慢コンクール』で優勝しているんですよ。上京して歌手を目指したが挫折して、お笑いの世界に入った。そんな、まだ見習いの立場の2人がうちの舞台でコンビを組むことがあったんだけど、二郎はセリフに詰まると突然、大きな声で歌いだすんだよ。するとお客さんも『うまいなー』って感心しちゃって、ミスが許される雰囲気があった。それで舞台が成立していたんだよ。一方、手持ちぶさたの欽坊は、舞台の端から端にタタッて走り抜ける。そんなコンビネーションで切り抜けていたんだよ」

 コンビ結成当初、「浅草に面白いコメディアンがいる」と聞き付けたテレビ業界からスカウトが来た。このとき萩本はピンで出演したが、緊張に押し潰されてNGを連発、限界を感じて浅草に出戻っていたという。

 後年、「視聴率100%男」の異名を持つようになるとは、誰にも想像できなかっただろう。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    巨人・岡本和真「メジャー断念」に現実味…“元エースと4番”の同時流出はあり得ない?

  3. 3

    日本ハム栗山CBOが二刀流高校生のドラフト指名を示唆した本当の理由は《ソフトバンクけん制》か

  4. 4

    世界戦略を重視する名門ヤンキースが巨人・岡本和真に熱視線!両者は《相思相愛》との情報も

  5. 5

    与野党一騎打ち「自公落選危機」は23人!裏金、旧統一教会、高市推しが「凶」に【一覧あり】

  1. 6

    元ジャニーズひかる一平さんが語る 事務所退所後の苦労と性加害問題について思うこと

  2. 7

    日本ハム新庄監督「このまま退団」なら…球団、選手、コーチはドン引き&大ヒンシュクだ

  3. 8

    田原俊彦が干された真相…「BIG発言」だけではなかった

  4. 9

    巨人がマエケン獲得へ!カープ復帰は望み薄《夫人も在京志向できっと巨人》と広島OBも悲観的

  5. 10

    阿部巨人V奪還を手繰り寄せる“陰の仕事人” ファームで投手を「魔改造」、エース戸郷も菅野も心酔中