おニャン子クラブ35周年「会員番号4番」新田恵利は今

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「若い頃に思っていた50代はもっともっと大人でした」

 フジテレビ系で「夕やけニャンニャン」が始まり、おニャン子クラブが「セーラー服を脱がさないで」でデビューした1985年から今年で実に35周年。約20年ぶりにステージに立つと決めた新田恵利(52)は今、何を思うのか。

  ◇  ◇  ◇

 ――今も往年のファンとの交流が続いているそうですね。

「はい! いつも変わらず寄り添ってくださり、応援してもらっています。その感謝を伝えたくて、3月に35周年記念のソロライブをと決めたんです。(新型コロナの影響で)皆さんと心から楽しめる状況ではなくなり、来年に延期とさせていただいたのですが、そんな時も『今まで待った長い時間から考えれば1年なんてあっという間』とか『来年を待つ楽しみができた』という声を届けてくださった。本当に優しいのです」

 ――それだけおニャン子は鮮烈で、若い男たちの胸を焦がした証拠では?

「バブルに向かって、日本が元気いっぱいでしたね。だから私たちもはじけられたのかも。『会員番号4番 新田恵利です』とカメラの前で初めて自己紹介した時のドキドキは、今も胸にあります」

 ――当時のあまりの売れ方、熱狂ぶりに戸惑っていた部分もあるとか。

「まあ階段ではなく、エスカレーターで一気に上へ上へと運ばれたようなものでしたからね。放課後、旧フジテレビへと続く道で私を待ってくれる方の人数が日に日に増えていって、わあ、どうしようって。タレントである自分がよく分からなかった」

 ――ごく普通の高校生の感覚であったと。

「ええ。『セーラー服を脱がさないで』のジャケット撮影の時、とんかつで有名なお店のお弁当が出たんです。包装紙には『とんかつ』の文字があり、食べ盛りでしたから大喜びで蓋を開けたんですけど、中身はシャケ弁で、がっかり。売れてからはそんなことはありませんでしたので、初期メンバーの間ではそれ以降のメンバーを、『シャケ弁を知らない恵まれた世代』と呼んでました」

 ――そのデビューから35年もの時が流れました。

「本当に、あっという間。これだけ長い月日を生き、ここ数年は母の介護や大病(脳動脈瘤手術)とか大きな変化もありましたけど、だからこそ今、無事に過ごしていることに、とても幸せを感じます。残りの人生もあっという間なんだろうなぁ」

国生さゆりからは「恵利は恵利よね」

 ――「セーラー服――」や「冬のオペラグラス」を今も歌ったりしますか?

「プライベートで歌うことはないんですけど、何年かに一度は番組などで歌うので、そのたびに振り付けを確認しているから忘れてはいません。近々では『THEカラオケ★バトル』(テレビ東京系)で『冬のオペラグラス』を歌います。原曲のキーが高いこともあって声が出ず、耳鼻科に行ったら声帯も筋肉ですから年を取るんですって。そんなことにも年齢を感じさせられちゃいますけど(4月5日放送の)同番組では、記念ライブで着る予定だったワンピースで頑張ります!」

 ――21世紀になって、はや20年、当時思われていた大人の自分と、実際のご自分は違いますか?

「若い頃思っていた50代は、もっともっと大人でしたね。いざ自分がなってみると、まだまだ未熟さを痛感させられます。私たちの時代は20歳になれば『脱・アイドル』で、本人も事務所も、どうするか悩んでいました。その悩みが一番で、それが将来、大人になるということでした。あの頃の私が今の私を見たら? 『老けたけどブレてないね』って笑いそう。(国生)さゆりちゃんからも『恵利は恵利よね』って言ってもらってます」

 ――マイペースということ?

「そうですね。現場に来るのは最後で、帰るのは最初だったり。ははは」

「歌ですか?下手かもしれませんけど嫌いじゃないんです」

 ――3月の誕生日にはパーティーなどは、あったのですか。

「もう年齢も年齢ですし、特にそういうことはと思っていたのですけど、レギュラーのラジオ番組の生放送中にお祝いしていただいちゃいました。そしてマネジャーとして手伝ってくれる同い年の旦那と焼き肉ランチして、ふたりで献血に行きました。学生のとき以来でしたけど、何か少しでも人の役に立ちたいなあって。夜はファンの方に頂いた崎陽軒のシウマイと、お刺し身の盛り合わせを買い、おうちごはん。番組で頂いたケーキがデザートでした。たくさんの方の愛であふれたおうちごはんでしたよ」

 ――今の活動内容は?

「基本、介護の講演とタレント活動の2本柱で、昨年脱サラした旦那がマネジャーとなり、夫婦二人三脚でのんびりやってます。でも旦那は自分のやりたい水中カメラやダイビングが本業で、そちらが忙しくなったら、私はまたひとりか、新しいマネジャーさんを探さなくちゃ」

 ――おニャン子の仲間とは会ってますか?

「最近は一時期より減ったかしら。皆それぞれの家族がいて、旦那さまの転勤で地方に住んでいたりするので」

 ――年齢を重ねていくことについて。

「昔は嫌でしたね。39歳の時はプチ鬱になりましたから。でもアラフィフになると、あきらめというか、いろんなことを受け入れられるようになった気がします。もう無理して若づくりしたりせず、嫌なことはやらず、人のことを許せるようになったかも」

 ――80年代を思い出したりしますか。

「もちろん。おニャン子では♪笑うとなくなる細い目~へのへのもへじじゃ ないよ~って自己紹介の歌までよく覚えてます。日本も元気でしたけど、ハリウッドも洋楽も元気で、よくマドンナ、プリンス、カルチャー・クラブとか聴いてました。とくにWham!(ワム)の『ラストクリスマス』が好きで、今も聴くと当時の思い出が広がります」

 ――おニャン子結成からはや35年。

「そうですねえ。おニャン子のときは私より後に入ってきたこともあって、『おはよう』も言ったことがなかった岡本貴子ちゃんとゴルフ仲間になったり、当時は想像もしていなかったような再会があったりして、長いこと生きてきて良かったなあって思います。貴子ちゃんは専業主婦となり、ふたりの子どもたちのお母さんなんですよ」

 ――35周年記念ライブは来年への持ち越しを決断されました。

「ええ。ただ『冬のオペラグラス』でのソロデビューは1986年元日でしたし、来年も35周年と銘打って、楽しくやれたらって思います。18年前なのですが、当時ライブでお披露目した『宵月夜』という新曲も歌い、バンドも入れて、盛り上がれたら。歌ですか? 下手かもしれませんけど、嫌いじゃないんです。それにライブに来てくださるのはファンの方々で皆さん味方ですので、大丈夫です!」

還暦、同窓会ツアーへ向けて

 おニャン子クラブ結成から35周年となる今年、52歳になった新田恵利は新たな道を模索中だ。

「91歳になる母の在宅介護をしていることで、企業や官庁で講演をさせていただくようになって約4年が経つのですけど、母との日々をスライドで見ていただくコーナーに、オリジナルの曲をつけてみようと思っています。未発売の新曲で、私が作詞した『宵月夜』を作曲してくれた音楽ディレクターがまた力を貸してくれると言ってくれているんです。来年のソロデビューから35周年の記念ライブまでに、さらに新曲をつくってみるなんて、夢も広がります」

 ――記念ライブでソロでは18年ぶりのステージにカムバック。

「また歌って欲しいというリクエストをファンの方からはずっといただいていたんです。今年3月のライブを来年に延期を決めたときも、前向きに受け入れて楽しみにしてくれている。35年間という長い時間、寄り添ってくれて心からありがとうって直接伝えたいんです」

 ――同窓会ツアーなどと銘打って、全国を回って欲しいとの声もあるとか。

「そうなんです。これまで、たとえば北海道在住のファンの方から『こっちに来て』とラブコールをいただいても、『あなたが会いに来て』と思ったりしていました。でも、もう少し経って、還暦といった節目には、私から伺って、津々浦々、回らせてもらうのも楽しいかもしれません。震災のあった2011年、高校の同窓会があって、同級生の皆と再会したとき、おニャン子の活動と学業の両立で大変だった私を助けてくれてありがとうってお礼を言えたんです。『ノートを貸した? それ私じゃない』って言われ、記憶違いもありましたけど、そういうことも含めて、一緒に当時を振り返るのは楽しいし盛り上がりましょう」

 ――それまでには、まだ時間があります。

「そうですね。ものを書くのも引き続き考えたいですし、新しいアイデアとしては、私の声を生かしたいなと思っています。前々から、私のラジオや講演を聴いてくださった方々、とりわけ女性から『声がとても優しくて癒やされる』って、うれしい感想を言っていただくんです。どんな生かし方ができるか、若い仕事仲間からアイデアをもらうつもり。今から楽しみ」

 ――人生100年時代、まだまだこれから。

「これまで、あっという間だったように、これからもきっと、あっという間なんだろうなあって。下り坂は下り坂で別れやまた苦労もあるでしょうけれど、季節の移ろいとか、若かった頃はよく目を向けていなかったことに目を向けて、その素晴らしさを感じたい。一度きりしかない人生、しっかり前を向いていくつもりです」

(聞き手=長昭彦/日刊ゲンダイ)

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