著者のコラム一覧
若月澪子ルポライター

1975年生まれ。ジャーナスリト。大学卒業後、NHK高知放送局・NHK首都圏放送センターで有期雇用のキャスター、ディレクターとしてローカル放送の番組制作に携わる。結婚退職後に自殺予防団体の電話相談ボランティアを経験。育児のかたわらウェブライターとして借金苦や終活に関する取材・執筆を行う。生涯非正規労働者。ギグワーカーとしていろんな仕事を体験中。

「派遣でコールセンター」とは正直に言えない…借金返済のため同業を掛け持ちするシニア男性の悲哀

公開日: 更新日:

【第6回:コールセンターで働くシニア男性の素顔・前編】

「人生100年時代のロールモデルがいない」──退職後のサラリーマンが迷走している。キャリア、居場所はリセットされ、年金不安時代は資産形成も「自己責任」。「人手不足」の号令の下、今日もシニアは働き続ける。『副業おじさん』『過労シニア』のルポライター・若月澪子が、奮闘し続ける令和シニアの素顔を追う。

  ◇  ◇  ◇

「仕事はパソコンなどを生産している一部上場企業で、PCのハードウェアの品質管理コンサルタントをしています」

 こう話すのは都内在住のFさん(60)。ノーネクタイのYシャツに黒縁の眼鏡、真面目そうなシニア男性である。

 「一部上場」「品質管理コンサルタント」と聞けば、なんとなく高度な専門知識を必要とする仕事という印象を受ける。そこで「エンジニアですか?」と聞くと、「いえ、エンジニアではありません」という。さらに突っ込んで聞いたところ、Fさんはとてもモジモジしながら早口で答えた。

「パソコンの修理などを請け負うコールセンターです」

 少し沈黙。「一部上場」「ハードウェア」と言われていたせいか、改めて聞かされた「コールセンター」が妙に浮いて聞こえる。

「失礼ですが、そちらの企業での雇用形態は……」と尋ねると、Fさんはだいぶ小さめの声で答えた。

「派遣社員です……」

 Fさんは勇気を振り絞って、「派遣社員」として「コールセンター」で働いていることを打ち明けてくれたようだ。Fさんはこの仕事を2年ほど前に始めたという。

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