女子プロ記者語る木村花さんの素顔 リングで育った女の子

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 数週間後、別の試合会場に取材に行くと、彼女が駆け寄ってきて「先日はありがとうございました!」と深々と挨拶をした。たった1度しか会ったことのない私にでさえ、これだけ礼儀正しいのだから、皆に好かれるのは推して知るべしだ。数日後、プロレス会場付近で会ったキムラに「いい子育てをしたんやね」というと、「いえ、いえ」と恐縮した。

■その責任感が「テラハ」につながったのなら

 事件後、花ちゃんは「テラハ」を辞めたいと明かしつつも、「次(4月)の大田区体育館までは頑張る」と漏らしていたという。女子プロの集客はいつの時代も至上命令。団体や選手はSNSを駆使して増員の可能性を模索し、選手は時に、不本意な内容の芸能の仕事も請け負う。

「自分が地上波に出ることでプロレス会場にお客さんが来るのなら」。花ちゃんの責任感が「テラハ」につながったのなら、悔やんでも悔やみきれない。国も悪質な投稿者を特定しやすくする方策を検討しているというが、一人娘を失ったキムラのような、遺族の心のケアもあわせて進めてほしいと心底思う。

 “たられば”の話だが、もしもコロナ自粛がなければ、花ちゃんはSNSなどを気にせずにリングで輝き続けることができたのだろうか……。女子プロ界が失った宝は、あまりにも大きい。

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