凸凹コンビが不思議な事件を解き明かす霊異譚 「めぐる糸」永井紗耶子著
「めぐる糸」永井紗耶子著
時は明治39年。帝大生の斎木啓吾は、手伝い仕事をしている新聞社の命で、子供たちが噂する「古寺でお祈りしている猫」の取材をすることになった。廃寺を訪れてみると、確かに三毛猫が本堂に向かい前足をぴたりと合わせて、祈っている。
と、婀娜な風情の女が「寺の外に連れて行っておくれよ」と啓吾に語りかけてきた。女の目は金色で糸のように黒目が細い。これは祈り猫か、別の化け猫なのか……。“視える”啓吾は逃げ出すが、その夜、ひょんなことから、祈り猫を預かることに。猫に憑いたのは亡くなった花魁で、2年前に行方知れずになった息子を捜してくれと頼むのだった。やがて居候先の子爵家の次男で心霊研究に心酔する正周と啓吾は「祈り猫」を機に、さまざまな怪異事件に巻き込まれていく。
学生時代に「日本霊異記」の研究をした経験を持つという著者の最新刊は、「霊が視える」学生と「視えない」が好奇心いっぱいの御曹司との凸凹コンビが、世の不思議な事件を解き明かしていく人情味あふれる霊異譚。写真の中に閉じ込められた女性、7歳で行方知れずになった少女、妻を捜す髑髏など、この世の未練を軽妙な筆致で描く。ままならぬ人生を懸命に生きた魂に寄り添う2人の姿に心温まる物語。 (双葉社 1980円)



















