長寿研究のいまを知る 番外編(5)「老化」は治療できるのか

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 長寿研究の世界で、いま最も注目されているキーワードのひとつが「部分的リプログラミング」だ。今年3月に発表された論文「Cellular reprogramming beyond pluripotency(多能性化を超えた細胞リプログラミング)」は、その最前線を整理した重要論文として話題を集めた。掲載されたのは医学・分子生物学分野で権威ある学術誌「Trends in Molecular Medicine」の電子版である。

 そもそもリプログラミング研究は、2006年に山中伸弥氏がiPS細胞を作製したことから始まった。皮膚細胞などに特定の遺伝子群(山中因子)を導入すると、細胞を“初期化”し、さまざまな組織へ変化できる万能細胞へ戻せることを示したのである。これは「細胞の運命は固定されている」という常識を覆した歴史的大発見だった。だが、完全な初期化には問題があった。細胞が未成熟化し過ぎると、がん化や奇形腫形成の危険が高まる。

 そこで現在の研究は、「細胞を完全に赤ちゃん状態へ戻す」のではなく、「細胞の種類は維持したまま、老化だけ巻き戻せないか」という方向へ研究が進んでいる。これが部分的リプログラミングだ。

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