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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

山田孝之が解説「植物に学ぶ生存戦略」は痛快な社会批評

公開日: 更新日:

 植物の生態には人間が生き延びるためのヒントがある。俳優の山田孝之が解説する「植物に学ぶ生存戦略」。その第4弾が先月26日に放送された。

 今回はシロツメクサの話が秀逸だ。山田は「ジャンベさん」という架空の政治家と対比させながら、3つの生存戦略を指摘する。まず仲間をつくること。シロツメクサは小さな花の集合体だ。ジャンベさんも失敗の責任を仲間にとらせてきた。

 次がウィンウィンのパートナー。シロツメクサは無数の根粒菌に支えられながら、彼らに配分する糖分を統制している。一方、ジャンベさんのパートナーは庶民だ。真面目に働く彼らに「相利共生」と思わせて、格差をつくることで支配する。

 3つ目は外部の優秀な人材。シロツメクサの場合は蜜を与えれば花粉を運んでくれるミツバチだ。ジャンベさんもまた「自分にとって有益」な人材に「甘い蜜」を吸わせて帝国を築いてきた。

 まとめとして山田が語る。

「一部の人間だけが得をする、まやかしの平和に気づき、NOを突きつけるのか。無知で無関心のまま飼い殺されるのか。どう生きるのかは自分で決めるのです」

 なんとも痛快な社会批評だ。ジャンベさんならぬアベさんにも届くといいなと思っていたら、2日後の28日に辞任会見。もしかしたら、この番組に「生存戦略」を見抜かれたことで覚悟を決めたのかもしれない。

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