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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

眞島秀和「おじカワ」で発見 何歳になっても世界は広がる

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 誰にだって「好きなもの」はある。「おじさんはカワイイものがお好き。」の主人公、小路三貴(眞島秀和)はカワイイものに目がない。

 特に好きなのは犬のキャラクター「パグ太郎」だ。しかしバツイチで独身の43歳、部下の信頼も厚い敏腕課長としては、会社の人間などに自分の趣味・嗜好を知られたくない。勝手な決めつけや誤解は迷惑だからだ。

 救いは取引先のアートディレクター、河合ケンタ(今井翼)である。同じ「カワイイもの好き」と分かり友情が芽生えた。一方社内では、小路をライバル視する年下の課長、鳴戸渡(桐山漣)が何かと目を光らせている。

 とはいえ、大きな事件が起きるわけではない。会社でカワイイものに過剰反応してあわてたり、出張先で鳴戸の目を盗んで「ご当地グッズ」を入手するのに苦労したり。演じる眞島もすっかり「カワイイおじさん」だ。

 10日に最終回を迎えたこのドラマが手渡してくれたメッセージは、自分にとっての「消せない好き」を大事にすることだ。そして「好きをあきらめない」こと。さらに大切な相手には、自分が思っていることを「言葉で伝える」努力をする。いずれもパグ太郎の教えだ。

 いや、小路の「発見」がまだあった。それは「何歳になっても世界は広がる」ということだ。パグ太郎のキーホルダー、お守りとして一つ欲しくなってきた。

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