withコロナ時代の中国エンタメ最前線<特別編>オンラインに拍車

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 10月1日は中国の国慶節(建国記念日)で、日本の正月やゴールデンウイークに匹敵する大作映画が公開される。今年の「我和我的家郷(私と私の故郷)」は、27・2億元(約424億円)という優れた興行成績を収めた。5つの物語のオムニバス形式作品で、豪華キャストと人情味にあふれるストーリーが幅広い層の支持を集めた。

 映画館は7月20日に営業再開したものの観客数「30%以下」という厳しい制限がかけられ、8月中旬に「50%以下」、9月末に「75%以下」と徐々に緩和。その後変更はなく、11月現在も「75%以下」制限のままである。実際、75%でもそれなりに混み合っており、感染予防対策として意味があるのかは正直疑問である。だが、断続的に感染者が発生している中「100%」入場可能を宣言する雰囲気でもなく、政府も慎重な態度を崩していないように見える。

 新型コロナウイルス流行後の中国では“エンタメのオンライン化”に拍車がかかっている。中国は国土が広く、地域ごとの経済格差も大きいため、生のエンターテインメント、ライブパフォーマンスを享受できるのは大都市周辺のごく一部の人間だけだ。そのため新型コロナの流行前から、14億のニーズを満たすツールとしてテレビから動画配信への移行がかなり進んでいた。テンセント、アリババ、バイドゥなどIT大手の傘下の動画配信インフラは堅牢で、数千万、億単位のアクセスにも耐えうるスペックを備えている。利用者個人の負担金額も抑えられており、コンテンツ視聴は無料が基本、有料でも1カ月300円程度と非常に安い。

 アリーナクラスのコンサートは再開のめども立っていないが、今後エンタメはライブではなく、動画での配信がスタンダードになる可能性も高い。最近では、グループアイドルのオーディション番組が盛んに制作されており、日本のタレントにも金脈となりそうだ。たとえば、ジャニーズ事務所を退所したばかりの山下智久らは、オーディション参加者のダンスレベルやアイドル性を評価する審査員や指南役としてのニーズがあり、高額なギャラでもオファーしたい人物といわれている。

 また、日本人俳優が中国の映画やドラマに起用される機会も年々増えている。興行収入約34億元(日本円で約530億円)を挙げた中国の大作映画「唐人街探案2」には妻夫木聡が出演。東京が舞台となった続編の「唐人――3」には、さらに多くの日本人俳優たちが出演しているというが、コロナの影響で公開が1年延期になっている。

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